すごい頭

 今日から路上教習だ。実際の道路で運転するなんて緊張する。ものすごく緊張する。ああ、人を轢いたりしないか心配だな。とても心配だ。


 ぶおおん!!


 人を轢きました。ああ。


 大丈夫かな。降りて確かめてみましょう。


「大丈夫ですかー??」


「大丈夫ですよー!!」


 元気な声が聞こえてきた。おお。でも首と胴体が離れているのだから大丈夫な方がおかしいんじゃないか。


「化け物だー!!ひーっ!!」


 私は車に乗り、頭を潰そうと車を運転した。


 ぶーんぶーん!!ぶーんぶーん!!ぶーんぶーん!!ぶーんぶーん!!


 しゅんしゅんしゅんしゅん


 しかし頭は素早く動き、避ける。避ける。避ける。


 ぶんぶんぶーん!!


 しゅんしゅんしゅーん!!


 すごい。全部避ける。見事だ。しかしだね。自分が頭一つだったとしたら動けないんじゃないかね。首もないのにどうやって動くのだろう。どうやって避けているのかね。インタビューしてみましょう。


 車から降りて聞いてみましょう。転がる頭に聞いてみましょう。


「すみません。どうやって避けているのですか。」


「息です。鼻息とか口からの息とか。頭の凹凸を計算して息を吐き、思った方向に進むんです。」


 へえ、すごい頭がいるんだな〜。


 完

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