アイランド本田

 委員長の本田くんはガリガリだが島国根性がありました。


「アイランド。アイランド。愛のある土地、アイランド。」


 それが本田くんの口癖でありました。


「愛なんかない!!この島には愛なんかないよ!!」


 人々がそう言っても本田くんは聞きません。元気いっぱいに繰り返します。


「アイランド。アイランド。愛のある土地、アイランド。」


 あっ、小島くんが来ました。青い服を着ています。小島くんはテニス部に所属している元気な子です。イケメンです。イケメンだけど、いい子です。


「おはよう小島くん。」


「やあおはよう。」


「小島くんの小アイランドには愛があるかな?」


「ウェーイ」


 タタタタタッ!!


 小島くんは走り去って行きました。


「アイランド。アイランド。愛のある土地。アイランド。」


 本田くんは通常運転に戻りました。


 タタタタタターッ!!


「本田くんはガリガリだからな。俺の作ったご飯を食べろ。ほらチャーハンだ。パラパラだぞ。」


 小島くんが戻って来て言いました。手の上にはお皿が。お皿にはチャーハンが乗っています。美味しそうです。どこからとってきたのかは分かりませんが。湯気が立っていて美味しそうです。


「このチャーハンには愛があるかい?」


「ウェーイ」


 タタタタタターッ


 小島くんはまた走ってどこかへ行きました。


 知らないババア「学校に関係ないものを持ってくんじゃねえ!!このチャーハンは没収するよ!!」

 

 チーン


 ボーボーボーボー、ボーボーボーボー


 あああっ!!火事です。突然の火事です。校舎全体が燃え上がっています。ああっ!!あああっ!!


 キャーキャーキャーキャー!!


 キャーキャーキャーキャー!!


 生徒達が逃げまわります。こればっかりは愛があっても仕方がない。逃げるしかない。そう、逃げるしかない。


 さあ、逃げようかな。本田くん、そう思っていた矢先です。


「あっちに小島が取り残されているーっ!!」


 人々の叫び声。なんということでしょう。これは大変なことです。助けに、助けにいかなければいけない。逃げようとしていましたが、本田くんは覚悟を決めました。


「アイランド、アイランド。愛のある土地。アイランド。」


 そう言って1人炎に向かって行きます。


 ズンズンズン、ズンズンズン


「アイランド、アイランド。愛のある土地。アイランド。」


 ズンズンズン、ズンズンズン


「が、頑張れーっ!!頑張れーっ!!」


「本田頑張れーっ!!」


 生徒たちも後ろから応援します。本田の島国根性に頼るほかないのです。やるときはやる男だ。なんだかんだ生徒たちは本田の島国根性を信じていたのです。


「アイランド、アイランド。愛のある土地。アイランド。」


 ぼおっ!!


 炎が本田を包み込みました。「あああっ!!」「だっだめかぁっ.....。」生徒たちから吐息が漏れます。本田でもダメなのか.....。いやっ.....いや違う...。愛....そう、愛があるのです。本田を包み込む炎には愛があるのです!!!!


 本田が炎の中に消え、しばらく時が経ちました......。ふぁっ、ふぁっ....


「....ランド、アイ..ンド、愛のある土地。アイランド。」


「おおおっ!!」


「アイランド、アイランド。愛のある土地。アイランド。」


 そこには、小島くんをお姫様抱っこした本田くんの姿が!!


「うおおおおおおおおお!!」


「うおおおおおおおお!!」


『アイランド!!アイランド!!愛のある土地!!アイランド。』


 あたりは大合唱に包まれたのでした。


 完

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