シラガシラガ

 老人なので白髪が生えます。


 シラガシラガ


「おじいちゃん。白髪が生えてきているね。」


「いいや、これはもやしじゃぞ。」


「白いね。」


「白いのじゃ。」


「おじいちゃん、それは白髪だよ。」


「いいや、これはもやしじゃぞ。」


 シラガシラガ


「ほら、シラガシラガって生えてきてるもの。白髪だよ。」


「いいや、これはもやしじゃぞ。」


「もやしだったらもやしもやしって生えるはずでしょう?」


「いいや、これはもやしじゃぞ。」


 おじいちゃんはボケてしまったのかもしれません。大変です。お母さんに知らせなければいけません。


 タタタタタターッ


「お母さん大変です。おじいちゃんが白髪をもやしだと言い張っています。」


「ええ、そんなあ。私からも言わなくちゃ。」


 シラガシラガ 


 白髪は生え続けています。もう真っ白になっています。


「おじいちゃん。白髪が生えていますね。」


「いいえ、これはもやしじゃぞ。」


「ああ、本当。大変だ。いいえおじいちゃん、これは白髪ですよ。」


「いいえ、これはもやしじゃぞ。」


 ゾゾゾゾゾッ、ゾゾゾゾゾッ


 恐ろしい、恐ろしい。


 ガクガクガクガク、ガクガクガクガク


「どうしたのじゃ、これはもやしじゃぞ。」


「ヒッヒェーッ!!」


「ヒヒェーッ!!」


 今すぐこの場から逃げ出したい。逃げたい。逃げ出したい。


 タタタタタターッ!!


 お母さんは堪えきれなくなり走り出しました。


 ダダーンッ!!


 ぎゃあっ、おじいちゃんが立ちはだかります。


「どうした、これはもやしじゃぞ。」


「うわああああああ!!」


「きゃああああああ!!」


 シラガシラガ、シラガシラガ


「おひゃああああああ!!」


「ぐぎゃああああああ!!」


「お父さん、お父さんを呼びましょう!!」


「う、うん。」


 トゥルルルルー!!


「お父さん、早くきてぇ!!」


「わかった!!今すぐ行く。」


 タタタタタターッ!!


「はあはあはあはあ、、、。」


 お父さんが来ました。


「どうしたんだ二人とも?」


「お、おじいちゃんが白髪をもやしって、、、、。」


「ええ?なに?あ、おじいちゃん白髪がたくさん生えているね。」


「いいや、これはもやしじゃぞ。」


「ぎゃああああああっ!!」


「ふぎょおおおおおおっ!!」


「うわああああああっ!!」


 完

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