かっこいい死

 ザッザッザッ


 迷彩服を着たガタイの大きな男たちが、並んでいます。ガチッと列を成して並んでいます。


「敬礼っ!!」


「はっ!!」


「お国のために命を捧げよ。戦での死。それこそが男にとって最も勇ましく格好の良い死に様なのだ。」


 分隊長が言いました。筋肉質のがっしりとした体から、太くてしなやかな声が響きます。


「いいえ。トンボに喰われた方が格好いいです。」


 たかしくんが言いました。


「そうだ!!そうだそうだ〜!!そうだそうだー!!」


 周りのみんなも同調します。


「トンボに喰われた方がかっこいい〜。かっこいい〜。」


 トントントン


「最もかっこいい死に方は、トンボに喰われるということとする。」


 民主主義。議長さんが言いました。


 次の日


「トンボのために命を捧げよ。トンボに食べられることによる死。それこそが男にとって最も勇ましく格好の良い死に様なのだ。」


 分隊が言いました。筋肉質のがっしりとした体から、太くてしなやかな声が響きます。


 ブーンブーン


 トンボのボス、トンボス。


 完

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