ボーン

「ああ、おれは凡人だ。凡人だ。いい絵を描けねえ。こんなんじゃねえ。こんなんじゃねえ。」


 画家のたかしくんは悩んでいます。いい絵が描けないのです。


「師匠。私は凡人です。助けてください。」


 師匠のぼんじさんに助けを求めます。白髭を蓄えたすごそうなおじいさんです。


「たかしよ。お前は凡人ではない。ボーン人だ。」


 太い声で言います。威厳があります。大地が震え上がります。


「ええ、なんですか。それは。」


 なんのことだかわからない。たかしくんは動揺します。汗が滴っています。


「ボーン。この世に生まれてきた。born。だから、ボーン人なのだよ。」


 優しい目でいいます。落ち着いています。流石師匠です。


「ええ、それ、そんなこと言ったらみんなボーン人じゃないですか。むしろそっから派生して凡人になってるんじゃないですか。」


 苛立つたかしくん。今にも殴りかかってきそうです。苛々していて怖いです。


「ふっふっふっ、まあそんなことはよい。これを持ちなさい。」


 そういうとぼんじさんはなにか箱のようなものをたかしくんに渡しました。


「な、なんですかこれ?」


 不審そうに受け取るたかしくん。ぼんじさんはなにかボタンのようなものを持っています。


「爆殺!!」


 ボーン!!


 たかしくんは木っ端微塵に。三通りのボーン人になりました。

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