閉じる
表示設定
目次
トラック
ブーンブーン、ブーンブーン
トラックが走っています。
どこもかしこもトラックが走っています。
「きゃあ！！助けてぇ！！」
女の子が、トラックから逃げています。細い路地を逃げ回っています。
追いかけるトラック。
「誰かあ！！助けてぇ！！助けてぇ！！」
ああ、行き止まりです。遂に追い詰められてしまいました。
近づいていくトラック。
「いやぁあああああああ！！」
ガブッ！！
ドロンッ！！
ブーンブーン、ブーンブーン！！
なんと、トラックに噛まれた女の子はトラックになってしまいました。今流行りの伝染病、ゾンビトラック症候群です。テレビをつけても、トラック症候群のことばかり。
「ええ、衛星からの報告によりますと、現在の感染者は、ええ、298万名を超えたと...」
「に、逃げろー！！」
「きゃあー！！」
ブーン！！
ああ、ニュースキャスターもあっという間にトラックになってしまいました。呑気に何処かへ走り去っていきます。もう安全地帯などないのです。テレビ局の中もトラックの手の中なのです。
「きゃーーー！！」
「助けてぇ！！」
ああ、もうあちこちでトラックになっていく人々。大変だあ、大変だあ。
「もうダメだあ！！この国はもうおしまいだあ！！」
みんな、諦めムードです。やがて自分たちもトラックになるのだ、そんな空気が漂っています。
ああ、トラックが来ました。見つかったらおしまいです。息を潜める人々。
生きた心地がしません。
ブーンブーン、ブーンブーン、ブーーン
どうやら、遠くに行ったようです。
「ああ、静かになったな。ちょっと俺が様子を見てくる。」
「うん。気をつけてね。パパ。」
「あなた、気をつけてね。」
心配する家族。
「おお、大丈夫だ。」
ささっ！！
物陰から飛び出る父。
デデーーーン！！
なんと、トラックは停止していたのです。これはトラックの罠でした。
「ぎゃあああああああ！！」
ガブッ
あっという間に、トラックに。トラックになってしまいました。
「うぅ、あなた。あなたがトラックになってしまったなら....私も、、もういいわ。」
「ママーーーーッ！！」
飛び出していくママ。
ビヨーン
「日本人はこのようにトラックになっていきました。ブーン化革命といいマース。」
完
ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）
応援したユーザーはいません
応援する
アカウントをお持ちの方はログイン
カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。
新規ユーザー登録（無料）
カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック！
カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう！
応援すると応援コメントも書けます