スーパーマン

 人気のない路地。まん丸お月様が空に浮かんでいる。トカゲが滑るように塀をはっている。


 スタスタスタ、スタスタスタ


 一人の女が通りかかる。スーツを着ていてお団子ヘアだ。仕事帰りのOLだろうか。


 スタスタスタ、スタスタスタ


「へい、姉ちゃん。ちょっとお茶しないかい?」


 どこから湧いて出たのか、チャラいお兄ちゃんが声を掛ける。この時間。怖すぎ。


 スタスタスタ、スタスタスタ


 女は無視して歩き続ける。


「お姉ちゃん、ちょっと、ちょっと」


 スタスタスタ、スタスタスタ


 ガシッ


 腕を掴んだ。怖すぎる。怖すぎる。助けを求めなければ!!女はスーパーマンを呼ぶことにした。


「助けて!!スーパーマン!!」


 トコトコトコ


 どこからか男が歩いてきた。小太りで眼鏡をかけたおじさんだ。


「助けに来ましたよ。」


 おじさんが言った。頑張ってきたのだ。


「あら、あなたはスーパーマンですか?ただのおじさんではないですか?」


 女が言った。ちょっと失礼だ。


「私はスーパーマンだよ。さっきスーパーで買い物をしていたからね。」


 おじさんが自信満々に答えた。


「え、それなら俺もスーパーマンかも。昼頃スーパーで買い物したし。」


 怖兄が言った。


「えっ、あなたスーパーマンだったの!素敵!!」


 見る目を変える女。


「おっ、おう。ありがとよ。へへへへ...。」


 照れる怖兄。


 パチパチパチパチ(スーパーマンおじさんの拍手)


 二人は現在仲良くスーパーを経営しています。


 完

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