エアコンニチハ

 ここはとある電気屋、エアコンが挨拶しています。


 エアコンニチハ、エアコンニチハ


「どうも〜、エアコンニチハ〜。」


「いつも元気だね〜。エアコンニチハ〜。」


 ジーパンを履いたお客さんお兄さん、パーマをかけたお客さんおばさんが挨拶に応じます。二人とも楽しそうです。


 エアコンニチハ、エアコンニチハ、エアコンニチハ、エアコンニチハ、エアコンバンハ、エアコンニチハ、エアコンニチハ


 あれあれ、エアコンバンハ、と言っているエアコンがいます。おかしいですね。昼なのに。


 炊飯キッキッキッキ、炊飯キッキッキッキ、炊飯キッキッキッキ、炊飯キッキッキッキ


 それをみた炊飯器がおかしくて笑っています。


 炊飯キッキッキッキ、炊飯キッキッキッキ


「こらあ!!バカにするなあ!!」


 ドカーンッ


 それを見たジーンズお兄さんが怒って炊飯器を破壊しました。硬い拳です。しかし、これは弁償ものです。お兄さんは胸の内ポケットからそそくさと財布を手に取り、三万円を残骸の上に置きました。ササササーッ!!


 店員さんに知らせなくては。


 正義感の強いジーンズお兄さんは店員さんのところに走って行きました。


 タタッタタータタッタター


「あの、店員さん。」


「なんでしょう。」


「エアコンバンハって言ってるエアコンがいますよ。昼なのに。」


「ええ、そんな馬鹿な。昼なんですよ。」


「はい、昼なのにエアコンバンハって言ってるんですよ。」


「そんな馬鹿な、ははははは。」


「ほんとだよ。」


 ドカーンッ


 ジーンズお兄さんは腹を立て店員さんを殴りました。


 うぐうっ


 こいつ、殴るほど、殴るほど本気なのだな。店員さんは殴られてやっと信じました。しかし、これは暴行罪です。


「わ、わかりました。エアコンバンハと言っているエアコンがいるのですね。しかしこれは暴行罪です。十万円罰金です。」


「はいどうぞ。」


 再びお兄さんは財布を胸ポケットから取り出し、軽々十万円を払いました。


「はいどうも〜。」


 タッタッタッタッタッ


 お金を受け取った店員さんはエアコン売り場に走り、エアコンたちの様子を観察します。ジジーッ、ジジーッ。


 エアコンニチハ、エアコンニチハ、エアコンニチハ、エアコンバンハ


 おっ、あいつだな。確かにエアコンバンハと言っている。これは修理しなければ。まずは故障の原因を確かめるぞ。ええと、マニュアルによると、質問1だな、、、。


「今は昼ですか、夜ですか。」


「夜です。」


 エアコンバンハエアコンは答えました。


 おっ!!早速原因がわかったぞ!!時間を間違っているんだな!!


「今は、昼です。」


「了解しました。エアコンニチハ、エアコンニチハ。」


 治りました。めでたしめでたし。


 完

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