なるほ道
信号が青に変わった。横断歩道を渡る。
トコトコトコ
横断歩道の隣にもなりやら白線で道が作られている。なんだろう。自転車が通る道だろうか。
「なるほ道」
道の中心にはそう書かれていた。なんだそれは。その下に少し小さめの文字で「立ち入り禁止」とも書かれていた。しかし禁止されたことはやりたくなるのが人の性。私はなるほ道に足を踏み入れた。
なるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほどなるほど
瞬間、数え切れないなるほど達が四方八方から矢のように襲って来た。私はあまりのなるほど圧に耐えられず道にしゃがみ込んでしまった。
グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
しかしああ、このままうずくまっていては自動車にひかれてしまう。私は必死に這いつくばりなるほ道を渡った。なるほどなるほどなるほどなるほど、なるほど達は四方八方から絶え間なく襲って来た。そう言えば、昨日のニュース。世になるほどが溢れかえっているため、なるほど処理委員会のなるほど処理場がついに人間社会に進出します。なるほ道という名で横断歩道の隣に設置される予定。なるほ道はなるほど以外の物が立ち入ると危険ですので皆さん気をつけてください。そんなことを言っていた。忘れていた。ああ、私としたことが。そんなことを考えながら、なんとか渡りきった。
その頃にはもう私の脳みそは完全になるほどに侵略しつくされていた。常に頭の中でなるほどが鳴り響いており、なるほど以外の言葉を発声できなくなってしまった。辛い日々が続いたが、私はなるほどだけで人々とコミュニケーションを取ろうと努力し続けた。その結果、なるほどの抑揚を変えることで日本語と同じようにコミュニケーションを取れるなるほど語を完成させ日本語を乗っ取り、この国の公用語にした。
人の可能性(ちから)は無限大〜♪
完
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