家に帰るまでが遠足

「家に帰るまでが遠足です。みんな気をつけて帰るように。」


「はーい。」


 じゃあねえ、じゃあねえ


 みんな一目散に帰って行きます。しかし、太郎君はホームレス。家がありませんでした。


「先生。僕には家がありません。僕は遠足から帰ることができないのですか?」


 太郎君は質問しました。


「否、太郎よ、違うのだ。貴様には家がないのではない、全てが家なのだ。普段寝ている路上、海、森、大地、地球全てが貴様の家なのだ。」


 そうだったのか。太郎君は驚きました。でも、先生が言うならそうに違いない。遠足から帰れないどころか、家の中を歩き回っていただけで、遠足に行ってすらいなかったのだな。


 太郎君は思いました。


 とりあえず、普段寝ている場所まで行こう。太郎君は歩き始めました。


 トコトコトコトコ


 すると、、、


 ぷーん


 近くの家から、美味しそうなカレーのにおいが漂ってきました。


 そういえば、この建物も僕の家だったな。入ってみよう。


 ガッチャーン


 窓を割って入りました。


 キャーーーー、110番よ、110番!!


 ピーポーピーポー


 太郎君は逮捕され、牢屋に入れられました。


 太郎君は牢屋で考えました。


 自分の家にいて、逮捕されるなんておかしい。やっぱり、先生は間違っていたんだ。ではやはり、僕には家がないのだろうか、、、否!!!


 太郎君は悟りました。


 私自身が、私の家なのだ!!!!!!


 ドンタンドンタンドンタンドンターーーン


 完



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