神経衰弱と富の再分配

 ジョン君とケージさんは暇でした。よって、神経衰弱で遊ぶことにしました。二人が神経衰弱をするのはこれが初めて。とてもワクワクしました。


 早速トランプを買い、床にカードを乱雑に並べました。しかし、残念ながら表裏を間違え、表が見えるようにして並べてしまいました。


 早速スタート。ジョン君からです。


 ピラッ


 一枚目。


 ピラッ


 二枚目。


 当然のことながら、トランプの裏は全て同じ絵柄です。


 やったあ


 ジョン君は絵柄が揃ったので、そのペアを自分の手元に置きました。ペアが揃ったら連続でめくることができるぞ。ジョン君は喜び、もう一度めくりました。


 ピラッ、ピラッ


 当然のことながらまた揃いました。そんなことを繰り返し、全てのカードがジョン君の手元に。


 やったあ、僕は神経衰弱が強いかもしれない。


 ジョン君は圧勝できたので、喜びました


 次はケージさん先行でやりました。今回も裏表間違えて並べてしまいました。


 さっきのジョン君と同じように、ケージさんは1ターン目で全てのカードを集めました。


 さすがに、これは、おかしいのではないか。さては、このトランプ、不良品だな。


 二人はトランプ屋に行き、新しいトランプを買いました。しかし、同じように裏表を間違えてしまっていたため、再び1ターンで勝敗が決しました。このトランプも不良品か、二人は再びトランプを買いに行きました。


 このようなことを繰り返した結果、二人は世界に存在する全てのトランプを買いました。


 みなさんはこの二人の財政が破綻したのでは?と思ったかもしれません。しかし、彼らは資本主義が産んだ化け物。世界の99%の富を独占していました。よって、トランプ買い占めにより、いい感じに富の再分配が行われ、いい感じの世界になりましたとさ(一時的に)。


 完


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