顔無しさん
風呂上がりの散歩、これが私の日課だ。
今日もいつも通り散歩していた。すると、前方から人が歩いてくる。暗くてよく見えないが、なにかがおかしい。
ピタッ、私の前で立ち止まる。
顔がなかった。
「顔をよこせえ〜顔をよこせえ〜〜。」
口がないのに声がする。脳内に直接語られているようだった。私はちょうど足が一本余っていたのであげた。目が見えないので足だと気づかなかったのか、それとも足でもよかったのかはわからない。その人物は、足を首の上につけた。
ヒョコ
きもかわ。私たちは恋に落ちた。
何回かデートをした。喫茶店によくいった。彼は口がないため、コーヒーを頼んでは首の上の足にかけていた。そのため周りの人間には不審な目で見られたこともあった。遊園地のお化け屋敷では、よくお化け役の人間を驚かしていた。
しかし、楽しい時間は一瞬である。私があげた足は水虫だったのだ。水虫はどんどん彼女の体を侵攻。心臓まで達した、水虫に支配されてしまったのだ。結果、水虫に心臓を支配され死亡。私は悲しかった。
せっかくの身元不明の遺体なので、鳥葬をすることにした。彼女の遺体を山奥へ運んだ。小鳥たちは彼女をついばんだ。
チュンチュンチュン、チュンチュンチュン
「鳥たちの中で生き続けろ!!!!」
私は鼓舞した。
完
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