第3章 男子校vs.女子校 体育祭は異世界で
#09 聖・シーガデル女学園
「「ひっさしぶりー。しーがーでるー♪」」
「ユウとマオはまた何かに影響されたのか……」
「『俺モイ』……『俺も妹にツンケンな態度で接してほしい』って『あにめ』の影響じゃ」
両手をめいっぱい広げるバカップル。
ケフィーに教えてもらった作品を調べようとスマホで
ポチポチとスマホの画面を弄っていると、少し前を進んでいた2人が学校の敷地内に入る。そう、シーガデルとは、シーガデル女学園のこと。
勇者であるユウや魔王のマオだけでなく、俺がこっちの世界に初めてきた時、さんざんお世話になった学校でもある。
◆ ◆ ◆ ◆
「わぁ、久しぶりね。急にどうしたの? もしかして、この聖・シーガデル女学園校長の私にまた会いたくなったんでしょ! でしょでしょ! ね!」
「ちょっ、校長。何故、自分に抱き着く。関係ないだろ」
「いいじゃん、ねぇ。ほら、コータロー。スクリも結構女らしく育ってきたわよ」
早速校長室に行ったら、このありさま。
年齢不詳の金髪ロングが校長の……本名は一度聞いたが忘れた。
髪の毛を後頭部で編み込んだ、どこか和風な感じがする同年代の女子がスクリである。
スクリは校長を押しのけて、
「ねぇ、他の人らは何処に行った? 何故、コータローだけが。オナミ、チャー、ケフィーは一旦家に帰るでしょうけど。ユウとマオはさ、
そう、ユウとマオは女子高に部屋を持っている。男のユウが何で女子高に? と思われるかもしれないが、それには深ーい訳がありまして。
「いや、何か。『これまで中々2人きりになれなかったし、部屋がどうなってるか気になるから先に校長に挨拶しておいて』って言われた」
「…………」
「…………」
しばし沈黙の後、スクリが、
「
「そうだよなっ」
「いや、違うでしょ!」
俺とスクリの勘繰りを、校長が止めた。流石、教育者の立場として、この手の話題は避けたいのか……
「ユウってチ〇コ勃たないもん! てか、玉ないよ。玉無しよ」
衝撃の事実を知った。スクリを見ると、彼女は自分の年収が低すぎることに驚いたような表情をしてた。
「ケフィーもチャーも知っていることよ。オナミは知らないけど」
「えっ、どうゆうことっすか。勃たないだけじゃなく、玉もないって」
「そのまんまの意味よ」
そのまんまって。そのまんま過ぎんやろ……
「何で玉無いんすか」
「それは……」
と、その時ドアがドンドン、と大きな音でノックされた。
スクリがドアを開け、汗だくで入ってきたのは校長補佐のレスタ。まだ、20代で若く、雑用に近い仕事をしている女性だ。
「校長っ。魔力鉱石の用意が整いまし……えっコータロー。何で」
「
そういえば、成美にお礼を言えていない。
どう考えてもしばらく会えないし。日本に戻るのは、じいちゃんの作った『
「逃げてきた。それは法に触れた、ということか」
スクリが冷たい声で言った。そんな目で睨まれると……あぁ
「あぁん。スクリちゃんのその目もいぃ」
俺の横にいた校長補佐レスタが身体をクネクネさせている。そういえばこいつ
校長は、レスタが持っていた納品書らしき紙を奪うと、
「まぁ、こんなもんで足りるでしょう」
「これから何かあるんですか?」
魔力鉱石とは、魔術を起動するために必要な『術式』と『魔力』のうち術式を保存するものだ。『魔力』は異世界の住人なら自然に持っているもので。その貯蔵量には個人差がある。
魔力鉱石を使えば、術式を自分で構築する時間が省け、ただ魔力を流し込むだけで魔法が発動するという優れもの。魔力を持っていない俺は使えないし、魔力貯蔵量が異常に少ない体質のユウも自力で使用することは難しい代物だ。
学校で魔力鉱石を大量に使う機会なんてそうそうない。日本でいう家電に近いものだし。
そう疑問に思っている俺の前で、校長は、
「体育祭よ。体育祭は派手にやんないとつまらないからね。明日の昼下がり、近くの男子校、ブルンブルン学園を襲撃に行くわ」
俺は前半しか聞き取れなかった……そういうことにしておいた。
校長のドヤ顔は、少し年の割には美人に見えた。性格は残念な人だけど。
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