幻日に浮くは花か骸か

11 夢見

嫌な夢を見た。ただただ嫌な夢を見た。それ以外には何も覚えていない。何が嫌だったとは答えられないが、それは確かに嫌な夢だった。

良い夢を見た。ただただ良い夢を見た。良い夢を見たということ以外は、何が良かったのかも覚えちゃいないが、それは確かに良い夢だった。

夢を見ない日が続いた。

あんなに嫌な夢だったのに、あんなに良い夢だったのに、ある日突然見れなくなった。

そしてまた夢を見た。

こんなにも良い夢だから、こんなにも嫌な夢だから、私は少し、嬉しくなった。