8 「君」

君は嗤う。僕を、君自身を、家族を、世界を嗤う。

君は問う。名のない自分の存在する意味を、その理由を、街の秘密を。

馬鹿みたいだ、と思った。そんなことを問う必要は無い。僕らはただ淡々と生きていれば良いのに何故彼女はそれを問うのだろう?

そのまま返せば、君は泣きそうな顔で駆けていった。




翌朝、君が話しかけてきた。だがそれは昨日話した彼女ではない。それでも確かにその女は「君」なのだ。

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