最強の理由
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Chapter.1
行動の全てには、大なり小なり、必ず理由があると思う。
24歳。アパレル2年目。東京都在住。彼氏なし。
なぜ仕事をするんだろう?
なぜ本を読んだり書いたりするのだろう?
なぜ実家に帰らないだろう?
私の取り巻く環境は常に「なぜ?」に対する回答の圧力がひしめいている。
答えが分かったところで、それが現時点の最善解に過ぎない。結局、答えは賞味期限付きの真実にすり替えられ、はい終了。お疲れさまでした。気疲れだけが残る。
余暇に楽しみがある訳でもなく、追いかけるほどの休日は持ってはいない。
でも、このままあと30年近く、何かしら「働いて生産する」生活を続けなきゃいけないし、なんとなく、このままでは人間の一線を越えてしまいそうな恐怖もある。
大学3年(就職活動中)の私の夢は専業主婦だった。
そこそこ(この時点で、社会に出ることがどれだけの事か把握していなかった)正社員として働いて、結婚して退職して、のほほんと家の中で家事しながら過ごす。
うちの母がまさしくそうだった。
高校を卒業して、デパート店員、資格講座の先生、シューズショップの会社員、職場で今の父と出会い、結婚し、それと同時に会社を辞め、25年間、ずっと専業主婦だった。子どもが大きくなり、受験シーズンに差し掛かると、よっこいせと腰を上げて、昔のキャリアを活かし、医療事務の職員をしている。最初はお局の看護師さんに毎日のようにイヤミを言われ、泣きながら帰宅していたが、今やすっかり仲が良い。でも不規則で修羅場のような職場なのか、お酒と煙草の量が増えた。
私たち兄妹が独り立ちをしてからは、夫婦でドライブすることも増えた。
皆、心に秘めた理想的なビジネスパーソンがいると言うなら、幸か不幸か、私の場合、目標にしたい人物が物凄く近いところにいる。
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