僕の物語にタイトルはない。

ヘルメイス

第1話

僕の名前は佐藤。この物語の主人公である。主人公といっても、人生のという物語の主人公であって、例えば僕とすれ違った人もまた、人生という物語の主人公であるし、公園のベンチに座っているご老人もまた、主人公である。

僕が通うこの県立神城高校では、1ヶ月前にとある事件が起こった。女子生徒が1人、校内で失踪する話だ。どうにも、失踪すると言っても何も手がかりがなく、事件が起こる前、女子生徒を見た者がいないときてしまった。まぁ、その手がかりとやらを生徒会の小西が見つけたと連絡が来たから、今日はいつもより早く学校に来ている。

教室には小西以外居なかった。

「意外と早かったじゃないか。てっきり時間には来ないと思っていたんだが。」

「僕がそんなのに見えるのか。まぁいいや。本題に入ってくれ。」

「ああ。わかった。単刀直入に言うと、これは幽霊が起こした事件だ。」

――――――――解散――――――――

「ねぇ!待って!まだ行くな!ちゃんと確証はあるから!!!!」

小西………お前という男は………今までお前の話を聞いて損したことはほとんどなかった。だが、これはどうなんだ……。

渋々僕は席に座る。「続けてくれ。」僕は言った。

「正直、オカルトチックな話半分俺も好まない。だが、悪いが1ヶ月も手がかりなく、証言もないってのは、本当に人の犯行か?」

小西が真面目な顔になる。言われてみればそうだ。人の犯行にしては何も証拠を残さず、警備の充実した校内で失踪することはほとんどない。

「今日の放課後。校舎の使われていない部屋をを調べよう。生徒会の特権で。」

小西が悪い顔をしながら言った。こいつ権力振りたいだけじゃないのか?

僕は少し考え、「わかった。協力する。」

「決まりだな。じゃあ。あとは放課後、生徒会室前に集合な。」

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