第5回『お菓子』/ a piece of cake

誕生日にショートケーキをリクエストすると

眉間にしわ寄せ「期待しないでね」と念押しされた。

料理上手な友人がそんなこと言うとは。

当日、ケーキに合わせて恋人が選んでくれたシャンパンで乾杯。

切り分けられたそれにフォークを落とす。

「普通においしいよ?」

拍子抜けていると友人は唇を尖らせた。

「普通なら作る意味ない。本気のケーキは消える芸術品だよ?

今日は特別な日なのに……」

あ、そっちのこだわりでしたか。

和食は絶品、イタリアンも相当の人は言うことが違う。

(手作りケーキが食べたかっただけだけど)

頑固な彼女のことだ、リベンジケーキなるかも。

普通においしく食べながら恋人と目配せした。

今後が楽しみである。





心配は体重だけ

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