ROTKAPP~脳内花畑少女~

羊乃和月

第1話 プロローグ

 春の日の午後。明るい光に包まれて、私は森の花畑にいる。

 お気に入りのこの場所で本を読んでいると、森の中から狼たちが現れた。

「なぁに?」

本を閉じ、彼らに問いかけても、もちろん返事はなく、ガルルと低く唸るだけ。

「……ひっ」

私は怖くなってきて逃げようとしたけれど、身がすくんでしまい、動けない。

そうしている間に近づいてくる狼。

助けを呼ぼうにも、声すら出ない。

 そんな私の前に現れたのは――

「お前ら何してんの」

同い年くらいで、銀色の髪をした少年だった。

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