老人ゲーム

Erin

Episode1 2xxx年

 2xxx年、超高齢化が進みすぎた日本。

 社会人10人につき、7人の高齢者を支えている。

 そんな社会。

 70歳で定年退職するはずの多くの人はまだ働いているが、決してマイナスなことばかりが続いているわけではない。

 技術が発展し、人々はさらに健康に。

 平均寿命すら100歳を達した。

旧約聖書には、人間の寿命は120歳までと定められているが、確かに100歳を超えたとしても、この時代、120年以上生きた人間はまだいない。


 ピラミッド型から逆ピラミッド型になった人口比率。

 外へ出かければ周りには高齢者しかいない……というわけではない。

最近販売されている化粧品は日に日に進化し、マイナス5才肌、いや、マイナス10才肌の力をもつファンデーションやらなんやらかんやが出始めた。そのせいか、結婚詐欺師というものが続出していった。

 詐欺……とまでは言わないかもしれない。年齢詐欺師というのか、とりあえず自分の年齢をサバ読みする人間が増えたのだ。

年の差結婚が増え始め、晩婚化や少子化の問題を解決する活動が盛んになった。


そんな時代。


日本中の注目と人気を集めている化粧品会社があった。

Hidakaだ。

数々の化粧品を生み出した大企業。

研究者はエリート大学出身者ぞろい。

それもあってか、人類を新たな第一歩に導く研究を始めた。


小説や映画などで度々聞くが、実際見たことのないもの……。


若返り薬だ。


今までは化粧で若さを作り出した人々。いわば老化した姿を隠すことしかできなかった人々。それなら、内側から若さを作り出し、老化した姿を隠さず、むしろ老化をなくそう。


その考えから浮かんだ、若返り薬。


十年もかからないうちにそれは完成された。ただ、結果はまだ誰も知らない。このまま全国に出れば、混乱が招かれるだろう。


「実験台が必要だな」


若返り薬研究のリーダーは実験台にする人を探し始めることにした。


「リーダーそんな、ある一人を犠牲にするなんて……」

「犠牲ではない。この実験に乗ってくれる人間を探すんだ」

「国民に、募集をするということですか?」

「ああ、女性限定にしてほしい」

「わかりました」

「あともう一つ」


リーダーは他の研究員に聞こえないよう、声を潜め何かを伝えた。

伝えられた研究員はうなずき、研究所を静かに出て行った。


――――――ゲームは、このとき始まった。

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