第138話 冥王

そして式典は盛大に行われた、神託のある建国は南アトランティスが正当なアトランティスである事を示し、非業の死を遂げたパラスの事まで公にされた。そしてそのパラスがムーの大将軍として復活しこの南アトランティスの建国に尽力した事は人々を大いに感動させた。

そしてこの場でラオダミーアが紹介されると更に歓声は大きく成り最高潮になる。


「城の外は凄い人ですね~、皆やっぱりポセイドーン様の事が大好きなんですね!」


「そうですね、ルチル、このアトランティス大陸の神がポセイドーンですからね、ところで健様は?」


「さっき廁へ行くと言ってましたよ? 帝」


「それにしても兵隊達の動きが慌ただしいわね? どうしたのかしら?」


「さっき観衆達の中に紛れて痴漢騒ぎがあったみたいです」


「それってセーラ!」


「あ!」

皆の声がハモル


「うむ、流石わ兄弟、このきは逃さぬか」


「感心している場合ではありませんヴァストゥール王‼」



一通り痴漢終了後、式典後の夕食会に入る。

ここで俺はとんでも無い奴に出逢ってしまう。


「久しぶりですね、健大和……レムリア以来ですか」


「お! お前はヘスティアー! 何しに来やがった!」


な⁉ 何だ…………スゲープレッシャーが……は!


気付くとそいつは後ろにいた、俺の真後ろに

「てめ!…………え⁉」


ドガン! バキバキ!

ズガーン‼


「ハデス! 止めなさい! 今日は戦いに来たのでは有りません‼」


「我が子の背後をいきなり取るは、私に対し敵意を示したと思え! 小僧!」


母ちゃんだった、俺の背後をいきなり取ったハデスに対し、母ちゃんが首を締め上げハデスの腹に中断蹴りを入れて後方へ蹴り飛ばしたのだ。

正直俺には一連の流れが全く見えなかった…………

そしてキュベレイの魔眼が大きく見開いていた。

プロビデンスでは無い、何かもっと、圧迫的な何か、恐怖を振り撒く眼、恐ろしいぜ…………

この力が俺の母親の力なのか、又足が動かねー、こないだより更にひでー。

今動けているのは神と言われる者の一部だけだ。

ポセイドーン、ハデス、アイオロス、テーセウス、朔と桜、ヘスティアーは俺と一緒だ、彼奴すら動けなく成るのか‼

何て魔眼だ…………


「止めておけハデス、如何にお前とて、グレートマザーを相手に無事では済むまい?」


「何を言っているのかポセイドーン、我は別に大和に対して敵意等は無い」


「どの口が言うか! 私は戦の女神、敵意を持って我が子の背後を取った者を見逃す筈は無い! 二度同じ真似はさせない、次は命が無いと思え!」


「これは失礼、グレートマザー、少し調子に乗ってしまいました。お許しを」


「もう良いであろう、アグディスティス、回りの者達がお主の魔眼にあてられておる」


「如何にティアマトとて、私の健にチョッカイ出した者は見過ごせないわ」


「じゃからその主人殿が魔眼にあてられておると言うているのじゃ」


「え? あら健ちゃん、ママまたいけないわね! ごめんなさい健ちゃん」


この性格どうにかならねえのか…………


「いや大丈夫だ、それにしてもお前ら何しに来やがった…………」


ヘスティアーは失禁していた、ハデスの前にいたヘスティアーは母ちゃんの魔眼の直撃を受けていたのだ。あんな物直に浴びせられたら失禁の一つもするだろう…………


「マジか、冷汗が止まらねーよ会長…………俺は会長の後ろにいたってのに…………これが神の畏怖か……」


「兄弟、ワシも未だに足の震えが止まらん……」


そして皆が要約落ち着いた所で


「今日は私とハデスで休戦協定を結びに来たの、ファラオナルメル、これがアトランティスのファラオ、貴方の父の書状よ、確認を」


「どういう風の吹きまわしだ? 今は此方の方が戦力は上だ! お前らを今攻めれば俺達が勝つのは眼に見えている」


「確かにそうね、ポセイドーンが裏切った以上明らかに此方の方が部が悪いわ」


「侵害な物言いだなヘスティアーよ、裏切ったのはゼウスだ! 我が孫パラスへの所業兄とて、ワシは許さぬぞ」


「どういう事? ハデス、貴方は知っているの?」


「些末な事だ、ゼウスがアテーナーを助ける為にパラスを嵌めた」


突然ポセイドーンの三ツ又の矛が輝きハデスへ高水圧の魔法が飛ぶ、だがハデスはそれを透明の膜を体に張り防いだ。


「止めよ二人とも、ハデスも言葉が過ぎよう、訂正するが良い」


「承知、ティアマトのお言葉と有れば、訂正しよう弟よ」


「して? ナルメル、何と書いておる」


「はい……桜姫……で良いんですよね?」


「構わぬよ、何と?」


内容はこうだ、地底人は両アトランティスの共通の敵、南アトランティスの独立を認めるのでお互いに不可侵条約を結びたい、オリュンポスの神々とアトランティスは南アトランティスの独立を祝福する。

よってヘスティアー神とハデス神が南アトランティス建国の式典に参上するとの事だ。


「成る程のう、ではファラオよどうする?」


「暫し返答は待って頂きたい、明日にはご返答致します。お二人の神々も本日はお疲れでしょう、我が国上げておもてなしをさせて頂きます。今日はおくつろぎ下さい」


「良いでしょう南アトランティスのファラオ、明日にもご返答頂けるのならば、今日はご厚意に甘えると致しましょう、それで良いですね? ハデス」


「そうだな、今日は馳走になろう」


これが本当に冥王なのか? ゼウスとポセイドーンの兄、目立った事は神話には殆ど書かれていない。ペルセポネーを強引に妻にした事位だ。



「健大和、貴女は不服そうですね? 随分と仏頂面をしていますね?」


「そりゃお前の失禁したパンツがかっぱらえねーからな? 戦争してりゃ強引に頂けた物を」


ヘスティアーは真っ赤な顔でおこりだした


「貴方! それはレディに対して言う事では有りません‼」


「アテーナー、アルテミス、そしてお前、この三大処女神のヴァージンを頂くのが俺の今回の目標だったんだ!」


「ならば強引にではなく正当に口説いて見せなさい。大地母神の息子でしょ? それくらいの器量は見せなさい」


「充分正当だ、戦に勝つ! お前をかっさらう、やる、最後にお前の生パンをかっぱらう…………完璧なシナリオだ!」


「貴方に正当等と言う言葉を使った私が間違いでした…………」


晩餐は終り、俺達は主要メンバーで緊急会議を開いていた、メンバーはナルメル、兄弟、朔、陛下、ナーナ、ポセイドーン、アイオロスだ」


「妾が取り仕切ろう、それで、思う所が有れば申してみるが良い」


「思う所だらけだ、ハデスは俺達とレプ野郎を戦わせて漁夫之利を得ようって魂胆が見え見えだぜ!」


「大和よ、レプ野郎とは何だ?」


「うむ、妾が説明しよう、妾達が住んでいた未来では地底人をレプテリアンとよんでいるのじゃ」


「確かに兄弟の言う通りじゃな、南と反乱軍を戦わせ、疲弊仕切った我らを叩こうとしているのじゃろう」


「なあ? 海王の一族なら知っているか? レプテリアンはドラゴンなのか? アイオロス」


「そうだな…………ドラゴンだ。 そして奴等にはギガント族が手を貸している、ひとつ眼の巨人で戦闘力は異常に高い、奴等とて一応ティターン族の一部だしな」


「やっぱりそうか、じゃあ一応不可侵条約を締結して上だけでも押さえておいた方が良いかもな、一応条件は付けさせて貰って」


「うむ、私もそう考えていた」


「ポセイドーンよ、先ずお主の考えを聞こうか」


「解りましたアプスー、先ずはアトランティスと条件付きで不可侵条約を結ぶ、条件は二つだ。

ティターン族を解放し、此方に引き渡す。

双方どちらかが戦闘に入った場合、条約締結期間はお互いで最低5万はお互いで融通しあう」


「成る程、では総帥は?」


「同じだな、ティターン神族の戦力は欲しい」


南北アトランティスの条約はこうして結ばれる、そしていよいよ反乱軍との戦闘に入って行く。

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