第51話 恐怖の上皇

天楼閣、神言の間

ここで今、皇族による皇族への尋問が行われている。

俺はこの時知らなかったが、代々の力技りくぎ鎚打つちだは皇族の中でも代々の帝を多く輩出している4大皇族の2つだった。

後の4大皇族は桜宮家、朔宮家で当主が桜、朔を名乗る。

今の陛下は桜姫の家系だった、桜姫が美人なのも頷ける。


「申し開きは無いのかえ?」


「帝!このりくぎに申し開きをお許し願いたい‼」


「申してみるが良いでしょう」


「は!まず内乱鎮圧でのジャーリアの件、これは我は全く存じ上げなかった事、誠ならば即刻各担当貴族への処罰を致しましょう。次にナーナ親王誘拐に置いて、確かに我が拝命つかまつった帝の護衛、手落ちがあった事は己の不徳の致す事なれど、その件に置いてはおさばきは既に下されていると存ずる。そして天空人殿へのお疑いは甚だ濡れ衣と言うもの、我は一般論を申立てしたのみで、天空人殿を追い出そうとしたなど滅相もない事」



「見苦しいですね、りくぎ公……私達がただ囚われのヴェスティア領内から逃げてきたとお思いですか?」


「ナーナ親王、どういう事じゃ?」


「はい、桜姫、今からお見せする事が全ての証拠でございます、ゲルタ子爵とアンナさん、ラフィーネさん達をこちらへ」


「本来この神言の間は高司祭以上でなければ入室できない場なれど、4大皇族の一角を成す者の審議為れば、特別にこの私が許可致しました」


「英断じゃ、帝」


「朔姫!なにお申される、その様な前列」


「お主を含め我等4大皇族の不始末の嫌疑も、過去前列の無い事じゃの?つちだの宮公よ!」



「ではゲルタ子爵、近郊のベルガへの出陣の際、元老院からの策を授かった時の話申されてみよ!」


「は!ナーナ親王殿下、わしはベルガの様子がきになり、国境の警備詰所にてシオンからの命令を待っておりましたのじゃ。じゃがシオンからの命令は来ず、こちらからの念話にも一切の返事が無かったしだい、程なくして命令が来たと思いきや、内容は魔物討伐時と同じく対応しろとのお言葉のみ」



「ではラフィーネさん、魔物討伐はゲルタ子爵からの命令を貴女が必ず受けてたのですね?」


「はい、ナーナ様、私はゲルタ子爵様からジャーリアの部落の代官を命じられておりました。よって子爵からの命はジャーリア全員に徹底するように私が直接各ジャーリアに伝えておりました。

子爵からの命は、こちらのアンナ様からいつも頂いておりました」



「それでは子爵からの魔物討伐時の命令をお聞かせ下さい」



「はい、本来の命令は刃を落とした剣を使い、突貫して魔物ごと死ぬ事。なれど、子爵様は人間相手では無いのにいくらなんでも無体な話し、魔物討伐に限っては内密に刃の突いた剣での戦闘を許可くださいました。」


「ではアンナさん、子爵からの命はそれで間違いございませんか?」


気もち朔上皇の気配に殺気が芽生えているような……気のせいだろう……



「はい、間違い有りません。その他シオンからの使者が参られた時の、ジャーリアに関するご報告は私に一任されておりましたが、その時に勅命を受けた事もございます。その時私の飼主は子爵様であった為、子爵様に直接お出し頂くようお願いした事があります」


「ゲルタ子爵、勅命内容は誰からによる物でございますか?」



「ここにおられるりくぎ公とつちだ公の連名による物ですじゃ」



「勅命内容をお聞かせ下さい」



「すまぬがそれはアンナから聞いて下さると有りがたい、余りの無体な内容にわしは激怒して追い返してしもうたので、内容を覚えておらんのです」



「そうですか、ではアンナさん、お聞かせ下さい」



「はい、シオンからの使者様は3カ月に一度見えられておりました。

使者様によると、ゲルタ子爵領におけるジャーリアの死亡者数が、極端に少ないとの事。これを是正するために、3度出撃したジャーリアは必ず死亡させる事を厳命するとの内容でした」



「なんじゃと?……アンナと申したの?それは誠か?」


朔上皇の雰囲気が一瞬にして変わる、何だこの人!ヤベー……こぇぇぇぇ!

俺のキャノンが無反応な意味が解ったぜ!

怒らせたらヤベー!覗きなんぞもっての他だ!


桜姫は涙を流して聞いている、確かに陛下の言う通り、この人達は関係無かったか……


「は、はい、朔上皇様……また使者様は、勅命を守らぬ貴族が他にもいると……」


あのアンナまでが気圧されてる、マジかよ……


「どうしたのじゃ、申してみよ!」


そんな殺気ばらまかれたらいくらアンナだってまともに受け答え出来る訳ねーだろ!



「はっ、はい!ハサン公爵閣下の一族が皆勅命を無視、何れ厳罰に処すと……他の貴族は皆一応に勅命に従い、中には戦闘2回で生き残ったジャーリアをアトランティスで食用肉として売買していると……」



「もうよい……最早耳の汚れぞ!ようもやってくれた物よ……」


「上皇!このような薄汚い奴隷やジャーリアの戯れ言、聞く耳もつは、ゴフー!」



「な!……お前」


俺が飛び出そうとしたが先を越されてしまった、なんと殴ったのは……久美だった……泣きながら……


「ふざけるなー‼何が突貫よ!何が勅命よ!そんなに突貫して死にたいなら、あんたがしなさいよー!この子達の命を何だと思ってるのよ!」


流石にここまで久美が切れてると、逆に俺が冷静になる、俺は久美を抱き締めて


「解った……解ったよ、久美!俺がなんとかするから、俺を信じろ!だから少し休んでいろ、な?久美」



久美はガタガタ震えていた、余程頭に血が登ってしまったんだろうな……

そして……

「健兄さん……ゆるせないよ……私、ゆるせない、よ……」


「おい久美……どうした!おい!」

久美が倒れた、俺のミスだ……


「急ぎセリナ公爵夫人を、前置き必用有りません」



「は!」


「セリナでございま……久美様!」


セリナは俺から久美を奪う


「おい、セリナ!久美は!」


「大丈夫!ショックで気を失われただけですよ!」


「それは良かった、久美を休ませてあげて下さい」


「俺が寝室まで連れて行くよ‼」


「お願い致します」


「済まない陛下、久美にも事前に話しておくべきだった……俺のミスだ……」


「いえ、健様、久美は以前から肉壁の言葉に強い懸念を示しておりました。事前にこの話しを聞けば審議の前に暴れてしまったでしょう、久美が暴れだせば、我等では止める事はできません。健様でなければ」



俺は久美を寝室まで運び久美の頭を数回撫でた

「久美、少し安心したよ、100年経とうがお前はやっぱお前だったんだな……セリナ!久美を頼む」



「解ってますよ!久美様も健様の大切なお方なのですよね?」


「ああ、大切ないもうと……女房だ!後始末を着けてくる!」



「久美様はお任せください!」



そして俺は神言の間の前で

「一応今回は挨拶位しておくか……健だ!入る……ヨーーーーーーーーーーーー‼」



とんでもない光景が俺の眼に飛び込んできた、なんと朔上皇がりくぎの首を切り飛ばした、その時だった……


マジかーーーーーーーーーー‼

跳んでる、生首!おいぃぃぃぃぃぃぃ!



ゴロゴロ‼


おっ、落ちた……


ま…………マジっすかぁぁぁ!

俺、お呼びでない!なはは…………と逃げ出そうとした時、朔姫と目が会う

こぇぇぇぇぇぇぇ!


「天空人殿暫しそこで待たれよ」


「はっ、はい、わかりますた……」


逃げられねーじゃねーか!


「次はお主じゃ!つちだよ、言い残す事はあるかの?」



「待って下さい上皇!私はりくぎに命令されただけ、逆らえなかったのです!」


「死人に口無しとはよう言うた物よ……ハサンやそこなゲルタは逆らっておったのう?ジャーリア族がヴァルキュリアの分身なら、その戦闘力たるや、1人で千にも値するじゃろうて。過去の盟約ゆえジャーリア達が無為に命を散らすを見ぬ振りをしておったのをよい事に……ようやってくれた物よ……聞くにそこなラフィーネは、アスラを妹のリーアとたった2人で撃退したと、先程天空人殿が言うたの?お主らが無為に殺したジャーリアがおれば、アトランティスもレムリアも何するものぞ……最早我満ならぬ、死を持って償うがよい!」



「ひぃぃぃぃ!お許しおぉぉぉぉ!」

尻もちをつきながら後ずさるつちだ、だが……


ザシュ‼ゴロゴロ……


飛ばした‼

また跳ばしやがった……

なんじゃこのお人はぁぁぁ!

ヤベー‼マジでヤベー、最初に見といて良かった……

万が一覗きをやってバレてたら、俺の首もそこいらに……


「はっ!しもうた、共謀した者共を聞き出すのを忘れておったわ!」


殺戮者じゃねーかぁぁぁぁ!


「すまぬの、帝、御前を薄汚き者共の血で汚してしもうて……」



「いえ、どの道極刑を言い渡す処でした……」


「死体をかたずけなさい、皇族とて遠慮はいりません、りくぎとつちだの一族郎党全て捉えなさい、尋問して共謀した者共を割り出すのです。

拷問とて構いません!、徹底的にやるのです!」


ナーナまでこれかよ……俺本当にお呼びじゃなかったな……えっ!……桜姫……


「許してたもれ……許してたもれ……このような辛き仕打ちを我が一族がしてしもうた、お主達ジャーリアにはなんとお詫びしてよいか……」


「大丈夫だよ?桜御前さまー、だってあの朔様が帝の時、いっつも先頭に立って敵に向かって行ったのミーシャ知ってるも~ん、だから泣かないで‼」


「そうかえ、すまぬのわらべよ……」


桜姫はミーシャとセナを強く抱きしめていつまでも泣いていた……


「はー……すまぬが暫くそうしておいてやってはくれぬか、わらべよ、桜は1回泣き出すと止まらぬからのう……」


「母上……部屋を移しますよ!」


そうか、桜姫は陛下達の母親なのか……


「健様、部屋を移しましょう、この後夕食を皆でとり、その時に懸案事項などを話したいと思います」


「ああ解った、とりあえず俺は久美の様子を見てくるよ、ラフィーネ達は桜さんに着いてあげてくれ!ルチルもな!」


「はい!」


「アンナはシエラをブローマに頼んで夕食会の部屋まで」


「かしこまりました」


「どれ、妾は天空人殿と夕食まで供にいようかのう?色々と聞きたき事もあるしのう」



マジかよーーーーーーーーーー‼


「さ、朔さんは陛下やナーナと居なくていいのか?」



「構わぬて、ナンナももう立派な帝じゃ、妾が着いてやる事もない」


「それより妾はお主に興味が湧いた、何でもヒュドラを舜殺したそうな?剛の者よ、妾は強き男は好きじゃ!話しを聞かせるがよい」


と、腕を組まれてしまった俺……マイサンは恐怖の余り完全に沈黙している……

何で隣が陛下やナーナや桜姫じゃなくて、この人なんだよー!美人なのに、美人なのに、怖くてなんも出来ねーじゃねーか!




》、鎚打つちだは皇族の中でも代々の帝を多く輩出している4大皇族の2つだった。

後の4大皇族は桜宮家、朔宮家で当主が桜、朔を名乗る。

今の陛下は桜姫の家系だった、桜姫が美人なのも頷ける。


「申し開きは無いのかえ?」


「帝!このりくぎに申し開きをお許し願いたい‼」


「申してみるが良いでしょう」


「は!まず内乱鎮圧でのジャーリアの件、これは我は全く存じ上げなかった事、誠ならば即刻各担当貴族への処罰を致しましょう。次にナーナ親王誘拐に置いて、確かに我が拝命つかまつった帝の護衛、手落ちがあった事は己の不徳の致す事なれど、その件に置いてはおさばきは既に下されていると存ずる。そして天空人殿へのお疑いは甚だ濡れ衣と言うもの、我は一般論を申立てしたのみで、天空人殿を追い出そうとしたなど滅相もない事」



「見苦しいですね、りくぎ公……私達がただ囚われのヴェスティア領内から逃げてきたとお思いですか?」


「ナーナ親王、どういう事じゃ?」


「はい、桜姫、今からお見せする事が全ての証拠でございます、ゲルタ子爵とアンナさん、ラフィーネさん達をこちらへ」


「本来この神言の間は高司祭以上でなければ入室できない場なれど、4大皇族の一角を成す者の審議為れば、特別にこの私が許可致しました」


「英断じゃ、帝」


「朔姫!なにお申される、その様な前列」


「お主を含め我等4大皇族の不始末の嫌疑も、過去前列の無い事じゃの?つちだの宮公よ!」



「ではゲルタ子爵、近郊のベルガへの出陣の際、元老院からの策を授かった時の話申されてみよ!」


「は!ナーナ親王殿下、わしはベルガの様子がきになり、国境の警備詰所にてシオンからの命令を待っておりましたのじゃ。じゃがシオンからの命令は来ず、こちらからの念話にも一切の返事が無かったしだい、程なくして命令が来たと思いきや、内容は魔物討伐時と同じく対応しろとのお言葉のみ」



「ではラフィーネさん、魔物討伐はゲルタ子爵からの命令を貴女が必ず受けてたのですね?」


「はい、ナーナ様、私はゲルタ子爵様からジャーリアの部落の代官を命じられておりました。よって子爵からの命はジャーリア全員に徹底するように私が直接各ジャーリアに伝えておりました。

子爵からの命は、こちらのアンナ様からいつも頂いておりました」



「それでは子爵からの魔物討伐時の命令をお聞かせ下さい」



「はい、本来の命令は刃を落とした剣を使い、突貫して魔物ごと死ぬ事。なれど、子爵様は人間相手では無いのにいくらなんでも無体な話し、魔物討伐に限っては内密に刃の突いた剣での戦闘を許可くださいました。」


「ではアンナさん、子爵からの命はそれで間違いございませんか?」


気もち朔上皇の気配に殺気が芽生えているような……気のせいだろう……



「はい、間違い有りません。その他シオンからの使者が参られた時の、ジャーリアに関するご報告は私に一任されておりましたが、その時に勅命を受けた事もございます。その時私の飼主は子爵様であった為、子爵様に直接お出し頂くようお願いした事があります」


「ゲルタ子爵、勅命内容は誰からによる物でございますか?」



「ここにおられるりくぎ公とつちだ公の連名による物ですじゃ」



「勅命内容をお聞かせ下さい」



「すまぬがそれはアンナから聞いて下さると有りがたい、余りの無体な内容にわしは激怒して追い返してしもうたので、内容を覚えておらんのです」



「そうですか、ではアンナさん、お聞かせ下さい」



「はい、シオンからの使者様は3カ月に一度見えられておりました。

使者様によると、ゲルタ子爵領におけるジャーリアの死亡者数が、極端に少ないとの事。これを是正するために、3度出撃したジャーリアは必ず死亡させる事を厳命するとの内容でした」



「なんじゃと?……アンナと申したの?それは誠か?」


朔上皇の雰囲気が一瞬にして変わる、何だこの人!ヤベー……こぇぇぇぇ!

俺のキャノンが無反応な意味が解ったぜ!

怒らせたらヤベー!覗きなんぞもっての他だ!


桜姫は涙を流して聞いている、確かに陛下の言う通り、この人達は関係無かったか……


「は、はい、朔上皇様……また使者様は、勅命を守らぬ貴族が他にもいると……」


あのアンナまでが気圧されてる、マジかよ……


「どうしたのじゃ、申してみよ!」


そんな殺気ばらまかれたらいくらアンナだってまともに受け答え出来る訳ねーだろ!



「はっ、はい!ハサン公爵閣下の一族が皆勅命を無視、何れ厳罰に処すと……他の貴族は皆一応に勅命に従い、中には戦闘2回で生き残ったジャーリアをアトランティスで食用肉として売買していると……」



「もうよい……最早耳の汚れぞ!ようもやってくれた物よ……」


「上皇!このような薄汚い奴隷やジャーリアの戯れ言、聞く耳もつは、ゴフー!」



「な!……お前」


俺が飛び出そうとしたが先を越されてしまった、なんと殴ったのは……久美だった……泣きながら……


「ふざけるなー‼何が突貫よ!何が勅命よ!そんなに突貫して死にたいなら、あんたがしなさいよー!この子達の命を何だと思ってるのよ!」


流石にここまで久美が切れてると、逆に俺が冷静になる、俺は久美を抱き締めて


「解った……解ったよ、久美!俺がなんとかするから、俺を信じろ!だから少し休んでいろ、な?久美」



久美はガタガタ震えていた、余程頭に血が登ってしまったんだろうな……

そして……

「健兄さん……ゆるせないよ……私、ゆるせない、よ……」


「おい久美……どうした!おい!」

久美が倒れた、俺のミスだ……


「急ぎセリナ公爵夫人を、前置き必用有りません」



「は!」


「セリナでございま……久美様!」


セリナは俺から久美を奪う


「おい、セリナ!久美は!」


「大丈夫!ショックで気を失われただけですよ!」


「それは良かった、久美を休ませてあげて下さい」


「俺が寝室まで連れて行くよ‼」


「お願い致します」


「済まない陛下、久美にも事前に話しておくべきだった……俺のミスだ……」


「いえ、健様、久美は以前から肉壁の言葉に強い懸念を示しておりました。事前にこの話しを聞けば審議の前に暴れてしまったでしょう、久美が暴れだせば、我等では止める事はできません。健様でなければ」



俺は久美を寝室まで運び久美の頭を数回撫でた

「久美、少し安心したよ、100年経とうがお前はやっぱお前だったんだな……セリナ!久美を頼む」



「解ってますよ!久美様も健様の大切なお方なのですよね?」


「ああ、大切ないもうと……女房だ!後始末を着けてくる!」



「久美様はお任せください!」



そして俺は神言の間の前で

「一応今回は挨拶位しておくか……健だ!入る……ヨーーーーーーーーーーーー‼」



とんでもない光景が俺の眼に飛び込んできた、なんと朔上皇がりくぎの首を切り飛ばした、その時だった……


マジかーーーーーーーーーー‼

跳んでる、生首!おいぃぃぃぃぃぃぃ!



ゴロゴロ‼


おっ、落ちた……


ま…………マジっすかぁぁぁ!

俺、お呼びでない!なはは…………と逃げ出そうとした時、朔姫と目が会う

こぇぇぇぇぇぇぇ!


「天空人殿暫しそこで待たれよ」


「はっ、はい、わかりますた……」


逃げられねーじゃねーか!


「次はお主じゃ!つちだよ、言い残す事はあるかの?」



「待って下さい上皇!私はりくぎに命令されただけ、逆らえなかったのです!」


「死人に口無しとはよう言うた物よ……ハサンやそこなゲルタは逆らっておったのう?ジャーリア族がヴァルキュリアの分身なら、その戦闘力たるや、1人で千にも値するじゃろうて。過去の盟約ゆえジャーリア達が無為に命を散らすを見ぬ振りをしておったのをよい事に……ようやってくれた物よ……聞くにそこなラフィーネは、アスラを妹のリーアとたった2人で撃退したと、先程天空人殿が言うたの?お主らが無為に殺したジャーリアがおれば、アトランティスもレムリアも何するものぞ……最早我満ならぬ、死を持って償うがよい!」



「ひぃぃぃぃ!お許しおぉぉぉぉ!」

尻もちをつきながら後ずさるつちだ、だが……


ザシュ‼ゴロゴロ……


飛ばした‼

また跳ばしやがった……

なんじゃこのお人はぁぁぁ!

ヤベー‼マジでヤベー、最初に見といて良かった……

万が一覗きをやってバレてたら、俺の首もそこいらに……


「はっ!しもうた、共謀した者共を聞き出すのを忘れておったわ!」


殺戮者じゃねーかぁぁぁぁ!


「すまぬの、帝、御前を薄汚き者共の血で汚してしもうて……」



「いえ、どの道極刑を言い渡す処でした……」


「死体をかたずけなさい、皇族とて遠慮はいりません、りくぎとつちだの一族郎党全て捉えなさい、尋問して共謀した者共を割り出すのです。

拷問とて構いません!、徹底的にやるのです!」


ナーナまでこれかよ……俺本当にお呼びじゃなかったな……えっ!……桜姫……


「許してたもれ……許してたもれ……このような辛き仕打ちを我が一族がしてしもうた、お主達ジャーリアにはなんとお詫びしてよいか……」


「大丈夫だよ?桜御前さまー、だってあの朔様が帝の時、いっつも先頭に立って敵に向かって行ったのミーシャ知ってるも~ん、だから泣かないで‼」


「そうかえ、すまぬのわらべよ……」


桜姫はミーシャとセナを強く抱きしめていつまでも泣いていた……


「はー……すまぬが暫くそうしておいてやってはくれぬか、わらべよ、桜は1回泣き出すと止まらぬからのう……」


「母上……部屋を移しますよ!」


そうか、桜姫は陛下達の母親なのか……


「健様、部屋を移しましょう、この後夕食を皆でとり、その時に懸案事項などを話したいと思います」


「ああ解った、とりあえず俺は久美の様子を見てくるよ、ラフィーネ達は桜さんに着いてあげてくれ!ルチルもな!」


「はい!」


「アンナはシエラをブローマに頼んで夕食会の部屋まで」


「かしこまりました」


「どれ、妾は天空人殿と夕食まで供にいようかのう?色々と聞きたき事もあるしのう」



マジかよーーーーーーーーーー‼


「さ、朔さんは陛下やナーナと居なくていいのか?」



「構わぬて、ナンナももう立派な帝じゃ、妾が着いてやる事もない」


「それより妾はお主に興味が湧いた、何でもヒュドラを舜殺したそうな?剛の者よ、妾は強き男は好きじゃ!話しを聞かせるがよい」


と、腕を組まれてしまった俺……マイサンは恐怖の余り完全に沈黙している……

何で隣が陛下やナーナや桜姫じゃなくて、この人なんだよー!美人なのに、美人なのに、怖くてなんも出来ねーじゃねーか!




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