第32話 神代武器
馬車の中
「健様達は大丈夫でしょうか?」
「先程のとんでもない爆発音、あれは恐らく健殿のフォルム、私も幾度となく久美様と戦場を共にしましたが、あれほどの音は聞いた事が有りません、それにヒュドラを瞬殺したあの力……大丈夫でしょう」
「姉上!姉上ー」
「どうした!ここではその名で呼ぶなと……」
「御幡です!錦の御幡が見えます!」
「誠か!」
「久美が来てくれたのですか」
「金色の御幡、帝です!帝御自らお迎えに……」
「姉上が……」
涙を滲ませるナーナ
「どう、どう、……帝軍将軍ラムダである、ナーナ様はご無事か‼」
「近衛師団、第三小隊、副隊長セフィリアでございます、ナーナ様の御身は馬車の中に!ご無事にございます」
「それは僥倖、まもなく帝と久美大将軍も参られる」
「は!」
馬車から降りて来るナーナ、即座に方膝を付くラムダ
「お久しぶりですね、ラムダ将軍」
「変わらぬお姿にこのラムダ、安堵の極みにございます」
「ナーナ!」
「久美、姉上」
ついに涙腺が弾けるナーナ、凛々しく有ろうと頑張って来たが、限界が来てしまった。
抱き合う帝、久美、ナーナ、その時
「はっ!お姉さま、久美!健様が、天空人様がたった3人のお仲間を連れて追っての迎撃に!」
「なんですって‼近衛師団は全員ここにいるではありませんか、何故その様な無謀な事をさせるのです!」
「違うんですお姉さま、健様がお前達はここに残れと、恐らく姉上の軍勢が来られるのを知って、行き違いにならない様にとのご配慮かと、あちらで祈っておられるのが健様のお仲間です」
「帝が来られているのに祈りを続けているとは」
止めさせようと動くラムダに
「お止めください将軍!続けさせてあげて下さい……彼女達はジャーリアと奴隷です、でも健様はまるで妻か娘であるかの様に可愛がっておられるのです……
それにルチルと言うジャーリアは、遠く離れた敵を察知する能力に、大変優れているんです。
ああしている事で我らは健様のご無事を確認出来ているんです」
「でも、いくらなんでも敵は500よ!このままではまずいわ、強引にでも何人かは着いていくべきだったわね、これでは戦場が何処かも解らない」
「出来なかったんです……恐ろしくて……」
「まさか!近衛師団は我が精鋭、いくら敵が500でもその様な事は……」
「違うんです!敵がではなく……健様が……」
「帝、情けなくもまるで地獄の修羅の様な憤怒の気に充てられ動けませんでした、健様は……お前達はここでナーナ様をお守りしろと……天空人様は他世界の御方、いくらなんでも他世界にまで帝の御意向が届いているとは思えません、ですがあれはまるでラ.ムーの武将」
「健様に幼い頃の私と、お姉様との想いでをお話しして、私が敵に捕らえられた理由もお話ししたんです、それで健様は……」
「なんと?」
「ムカつく、、マジでムカつく、、と……」
「ムカつく?マジで?」
「本気で頭に来たって意味よ、だから4人で行くような馬鹿な真似したんだわ、超が付く程女に甘い奴なのね」
「ですがいくら女に甘くても命がけでなど」
「そこじゃ無いのよ、帝にあいつが残したメッセージを思い出して!それがナーナから、帝の幼い頃のあいつへの想いを、ナーナから聞かされてしまえばどうなる?」
「どうなるんです?」
「はー……帝も大概鈍いわね……」
むくれる帝……
「自分の馬鹿さ加減に頭に来て、自分への怒りを敵にぶつけに行ったのよ!」
「そんな!では私が余計な事を話してしまったせいで……」
「ナーナは悪くないわよ、って、何処行くのよ帝ー!」
帝は走りだしていた、自分が悪いのに、謝ろうと思っていたのに、自分が幼い頃から勝手に抱いていた想いなだけなのに、それで自分を責めている健。
恋心を抱いて居ないと言えば嘘になる、だが今帝は自分を責めていた、自分が強引に健を懐柔しようと企んだせいで、健は命の危険に苛まれている
「こちらにルチルさんはいらっしゃいませんか?」
「いるよー」
相変わらずマイペースで答えるミーシャ
「彼方がルチルさん?」
「違うよ~」
と言ってルチルを指差すミーシャ
「でもねールチルは今ご主人様の気を探っているから、あまりにお話し出来ないの~」
「ルチルさん、少しで良いんです、お話しさせてくださいませんか?」
「貴女様は?」
「帝よ!、はー、はー、勝手に走りださないでよ‼」
「え!」
控えるルチル達
「そのままで!ルチルさん天空人様を見失わないで下さい!」
「はっはい!」
「ルチルさん教えて下さい、天空人様は今どの辺りで戦っておられますか?」
「それは……」
「足が悪い故、馬上の御無礼をお許し下さい、そして……如何に帝と言えど、それをお話しする事は出来ません。
主より申し使っております、帝軍が来たらナーナ様を連れて安全な所まで退避するように伝えろと」
「そんな……こちらの軍勢は500です!決して遅れを取ったりはしません」
「数の問題ではないんです、先程姉から念話を受付ました、敵に恐ろしく強い者が要ると、私も姉も何なのかは解りませんが、健様のお話しでは神代宝貝を使っていると……あれは1人で200人相手にしても余裕で勝利出来る様な代物だとか、今健様が相手に戦っています、だからナーナ様を連れて逃げろ、と」
「神代宝貝?何ですか?それは」
「ねえ、その名前とか何か聞いてない?」
「健様は乾坤圏と言っていました」
「嘘……闘神那託が使ってたって言う……確かに本当ならヤバイかも……て、何でそんなもんが実在しているのよ!」
「知っているのですか?どんなも物なのですか!」
「私も詳しくわ知らないわよ、ただ輪っか状の投稿具で、投げると必ず持主の元に戻って来て、それで輪っかの回りは全て刃でできているの。
一回投げただけで数十人は両断するって、確か速度とかも自由に持ち主が操れる。
それが両手に2つ、私健の世界では闘神と言われる神の子が使っていた武器よ」
「そんな物を相手に天空人様は、、、お願いですルチルさん、教えて」
「でも……」
「ルチルさん、ルチルさんは天空人様を、いいえ、健様を愛してはいないのですか?」
「わ、私は健様の性玩具です!そんな大それた事は……」
「それは健様がそうなれとご命令を?」
「健様は私には、それにみなさんにも……」
ルチルは帝の言葉を聞いて思い出していた。
『俺に惚れたか!』
『はい!惚れました』
『なら今日からお前は俺の女だ!』
ーーーー
『そこに後6人俺の女がいる、差別はいけねーなー』
「ルチルさん、これはここだけのないしょ話です、私も健様を愛しています、勿論直接会った事もお話ししたことも有りません。でも私は100年も前から毎日健様とお逢いして、お話ししていたんです、夢の中でずっと……
それが今、すぐそこにいらっしゃるのです、私はルチルさんなら今の私の気持ちを解って下さると、信じています」
ルチルの涙腺は遂に決壊した
「愛して、、愛しています、私は……健様を愛しています、心から……」
「なら私とルチルさんは同じです、同じ人を愛している同志です、一緒に救いましょう、愛する人を」
ルチルは立ち上り指差す
「ここを真っ直ぐ、あの大きい岩が割れた先で健様はとても大きな魔力を持った何かと戦っています、お願いです帝様、健様を助けて下さい!」
「お約束致します、必ず連れ戻しますよ、一緒にその後健様に甘えましょう」
「え!あ!その……」
「久美!」
「解ってるわ!御幡を起てよー!今我らにお味方下さる新たな天空人が、たった数人で敵を押さえている!絶対に天空人を撃ち取られては成らない!出陣!」
オォォォォォ
セナがルチルを抱きしめて……
「帝にああ言われてしまえば仕方ありませんよね!」
「でも良かった、これで健様も、お姉様もラフィーネさん達も戻れそうです」
ーーーーーーーー
「来いよ、殺してやるから」
「乾坤圏を奪った位で勝ったつもりなのー?」
「別に!ただこれで終わりじゃぁ芸が無さすぎだろ」
「アスラを舐めないでね~」
リグが動こうとした瞬間、
「そこまでよ」
リグの首に赤い刃が突き付けられている
「邪魔しないでよ、ミスラ」
「おいおい、まさかそれもかよ」
「初めまして、天空人、、それも……とは?」
「その赤い剣だよ!まさか化血神刀とか言わねーよな?」
「よくご存知で、、ちょっと厄介な人ね、でもひとまず戻るわよ‼リグ」
「まさか逃げる訳じゃねえよ、な、」
乾坤圏を投げる健
ギン‼
圏を弾くミスラ、そのまま圏はリグの元に戻った
「ごめんなさい!お相手してあげたいんだけど、今は駄目なの」
「僕はやるよー」
「早急に戻れとのご命令よ!」
リグ「ふん!わかったよ、、仕方ない……じゃーねー仮面様君ー」
「馬鹿が、そんな物見せられて、そのまま逃がすとでも思ったのか」
「君の戦いを見ていたわ、持主のリグでさへ思いもよらない喜作な方法でその乾坤圏を避けていたわね。乾坤圏を熟知していなければ、あの発想は思い付かないわね!
乾坤圏は持主の元に戻って来るとその回転を弱め、持主が受け取り安くする。それは持主であるリグの意思ではなく、乾坤圏自信がそうするの。
リグは君がリグの方向へ走り出した時、乾坤圏の威力を弱める為にそうしたと判断した。
だからただ乾坤圏の軌道を変えるに留めた。
しかし君は弱めた威力を利用して、敢えて将軍を切らせる様にして、乾坤圏その物を止めた。
予め人が切れない迄に乾坤圏の威力が弱まる事が解っていないと出来ない芸当よね」
「弱まってない状態で乾坤圏を弾くお前程じゃないさ‼」
「宝貝どうしは弾く特性が有るのよ!」
「ほう!それは良いことを聞いた」
「お待たせ致しました健様、敵は粗方逃げ出しました、今この場にいる敵兵はそこの二人だけです」
「ラフィーネとリーアは?」
「時期この場に参ります」
「だってよ」
「そう、まぁ将軍が撃ち取られたのだからそうなるわね、でも私が持つこの化血神刀、彼方達が何人いようと関係無いわよ?」
「やってみろよ!」
暫くにらみ合いが続く
「やっぱりね、彼方この化血神刀も知ってるのね?」
「試してみたらどうだ?」
その時リグの手から乾坤圏が離れた
「しまった!」
帝が応援に来たその時、リグが乾坤圏を帝に向かって投げたのだ
「くそう、間に合わねー……一か八か、そうであってくれ!インドラー!」
インドラの雷鳴が乾坤圏を弾いた
馬から落馬する帝、駆けだし自分の体で受け止める健
「ちょっと、嘘でしょ?」
「えーそんなー……あんなんで弾くの~?」
「でもチャンスね、チャオ!また会いましょ!奇妙な天空人さん」
「ちっ、逃がしたか……」
「……あ……あの……」
「大丈夫か?どこも打ってないか?てか……何で向こうで待ってねーんだよ!ナーナ、陛下の軍が来るまでいろっつっただろ!」
「その陛下何だけど……て言うか早くその手どけなさいよ、今回はラッキースケベって事で許してあげるけど、次は許さないわよ!」
「え?……服がちげー、しかもこのマシュマロの様な感触は……間違いない」
ムギュムギュと揉む健、帝は声を出さない様に耐えている
「……服の下にブラをはめてない!しかもこのマシュマロの様に弾力がありながらも、やんわりとして絶妙な、そして全てを包み込むような柔らかさ、その中に合ってもハッキリと存在感を表しているこの突起物……と言うことは、服の下は……生乳ではないかー!ゴバッ!!」
久美に剣の鞘で殴られ吹っ飛ぶ健
「お前は料理番組のリポーターかー!検証なんてしなくて良いから早く手どけなさいよ!帝になんて事してんのよ!」
「帝?え!うぉおぉぉぉ!」
しまったーナーナじゃ無かったのかー‼
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