第2話所謂チュートリアルが俺のマイホーム
光が収まり視界がはっきりしたのはいいが、ここは一体どこだろう?
草原に一軒家がポツンとある。
木の柵で囲まれた庭に畑があり、家の裏には5メートル程の大きな林檎の木。
枝もたわわに実っている...1つ食べてもいいかな?
ノックしてみるが、返事がないので扉を開けて中に入る。
調度品は一通り揃っているが、人の気配は無い。
ん?手紙かな?
二つ折りにされた紙にはこう書かれていた。
八神 慧やがみ けい 殿
ここは転生者が、異世界へ転生する前に滞在する、準備の為のエリアです。
この箱庭は通常であれば、フィールド所有者(転生者)が、自分で準備完了と定めるか、3日間で自動崩壊します。
景様は転生特典が【時間無制限】でしたので、時間を無限に使う事が出来ます。
実際にはこの空間だけ、外と時間の流れが違います。ですので、景様が転生開始を決めた時に時間の流れが戻ります。
他の転生者の皆さんと同じタイミングで転生開始になりますが、生まれる場所や種族等はバラバラになります。
転生に際して、景様が考えていた疑問について、解答を記しておきます。
転生後の世界の名は【クォーツ】といいます。
世界の文明レベルは地球における中世レベルです。
剣と魔法の世界。所謂、ファンタジー属性がかなり濃厚な世界ですね。
ステータスという概念はありますが、説明するよりも実際に体験する方が、手っ取り早く身に付くと思いますので、解説は割愛させて頂きます。
【ステータス】と思い浮かべれば、いつでもウィンドウが開きます。
あちらの世界は、成長に限界がありませんので、どんなに弱い生き物でも、生き残って力を蓄えれば強く慣れます。
頭の中に浮かんだ映像は信じられないものだった。
金色のオーラを纏ったネズミが突撃を敢行...ドラゴンの腹を突き破って着地すると、爆発四散するドラゴンの姿があった。
「またチュまらないトカゲに天チューを下してしまったでチュー」
ネズミさんマジぱねぇっすわLV893だってよ....極めてるな、色々と
という感じで、努力すればするだけ身に付く、可能性に溢れた世界です。
ちなみに、奴隷制度は存在します。
王族、貴族、富裕層、平民、貧民、奴隷といった感じです。
奴隷に落ちたものは基本的に一生奴隷、子供も奴隷、人権など存在しないが常識です。
唯一の救いは、国の慶事で恩赦が出た場合、偉業を成し遂げて奴隷解放の権利を得た場合です。 前者は数十年に一度あるか無いか、後者は世界で発生した奇跡と、どちらが先かというレベルです。
景様の生まれは確定しておりませんが、人間に生まれる事は確定しています。
ですが、生まれる地域や国によっては、転生した時点で終わりが見える場合もありますので、準備を怠る事は致命的となります。
LVやスキル、アイテムはこの箱庭で手に入れた物を持ち越す事が出来ます。
【アイテムボックス】と思い浮かべれば、ウィンドウが開きます。
内容量は無限です。管理フォルダの設定次第で、内部の温度や時間経過の有無まで設定する事が可能です。
【百科事典】ウィキペディアと思い浮かべれば、質問に対するガイドラインが表示されます。
転生者各位には特典の他に、これらのシステムを使用可能とさせて頂きましたので、是非活用してください。
【百科事典】質問、最悪の場合に転生する先の平均レベルは?
『解』平均レベル40000 最高レベル180000 のコロニーが存在します。
『補足』平均レベル0~50の範囲に転生する確率 60% 平均レベル51~100の範囲に転生する確率 25% 平均レベル101~1000の範囲に転生する確率 10% それ以上 5%の内訳となります。
死ぬ、おそらく後者の10%&5%を引いたら、高確率で死ぬ事になる。
駄目だ、手段が残されているなら、たとえどんな状況でも生き残ってみせる。
取り柄が無い、特徴が無い、センスも無いと馬鹿にされた俺だが、努力だけなら負けない!
ベルマークだって21万点集めたし、ペットボトルのキャップだって9万個集めた。
生き物係兼保険委員兼図書委員兼美化委員兼放送委員だって勤めたし、日直だって毎日やった。
新聞配達だって12年間休まず続けたし、何の意味があるのかわからないけど、穴を掘ってから掘った穴を埋めるバイトだって3年間毎日続けた....もん...あれ...おかしいな...涙が出てきた...よ?
ともかく、作業ゲーといわれようと、暇でも厳しくても苦しくてもだ!継続して積み重ねることに関しては、俺の右に出る奴はいない!!え?左?...左は知らない!
こうして、異世界転生の準備は始まった。
俺は負けない!塵だって積もれば山になる!横からフゥ~ってされたら吹き飛ぶけどね!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます