第21話


ひろとのお葬式が終わり、

私の日々は真っ暗でなにも見えなくて

なにもできなくて部屋にこもりっぱなしになってしまった。


コンコンガチャ

「ゆな、お客さん来てるわよ」

「誰?」


「来たら、わかるわ。おいで?」


お母さんは優しく声をかけてくれる。


私がリビングに行くとそこにはひろとの両親がいた。





「ゆなちゃん。ゆなちゃんにこれあげたくて…」


ひろとの、お母さんが取り出したのはひろとの、携帯。

「この中にね、たくさん写真が入ってて、ゆなちゃんとの、思い出なんじゃないかなって思ったから持ってきてみたの。」

私はそれを受けとると画像フォルダを、みた。

そのなかには学校の帰り道、一緒にテーマパークに行ったとき、夏祭りの写真がたくさん入っていた。


「ありがとう。」

そういうと、私はこれを部屋に持っていき一枚一枚みてみた。


夏祭りのときの写真。

私がたこ焼きを食べてる。

花火の写真も。


聞こえてたよ。好きって言葉。

はぐらかしてごめんね。

こんなことになるなんて思ってなかったから。ちゃんとききたかったの。お互いのかおみて、ちゃんと。でも、あのとき聞こえてて本当によかった。


あなたの最初で最後のすきを聞き逃さないでよかった…


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