数をめぐる兄弟
水宮うみ
第数話
「俺たち、まるで双子素数だな」
兄がふいにそう言った。
「どういう意味?」
「ほら、素数は孤独っていうじゃん。俺らは、二つ組の孤独なんだよ」
「双子素数が無限に存在するかは未だ分かっていないから、僕らが双子素数だということは、僕らみたいなのが無限に存在するかは不明だってことになるけど、僕らみたいなのいくらでもいるに違いないから、逆に僕らが双子素数が無限に存在することの証拠になるのかもね。学会にでも発表する? あと別に僕孤独じゃないんだけど」
「お前が4n+1型素数で俺は6n+1型素数な。俺ハチの巣の形状が好きだから」
「4n+1型素数と6n+1型素数が双子素数になっているということは、より詳しく書くと12n+5型素数と12n+7型素数ってことだね。まぁ僕はMOTHER型の動き方よりドラクエ型の動き方のほうが好きだから(僕が孤独でないことを除けば)別にそれでいいけど、そんなことより」
僕は読者のほうを向いて、「6n+1型素数とハチの巣の形状の関係性について注釈が必要なんじゃないか。ついでにドラクエ型の動き方と4n+1型の関係性についても」
「そうだな。知らない人も多いだろう」
兄はそう言って数字を並べ始める。
「一番簡単な、5と7の場合を例にする。5は4n+1型代表、7は6n+1型代表だ。
最初に5の場合を考える。5で割った余りでできる数の並びだ。
2340123401234012340123401
0123401234012340123401234
3401234012340123401234012
というような並びを考える。右に一個進むには+1、左に一個進むには-1、上に一個進むには+2、下に一個進むには-2になっている」
「ここまでならなにも面白くないね」
「そう。面白いのはここからだ。
0を真ん中にして数を取り出すと、面白いことが見えてくる。
2
401
3
反時計回りに一個進むと×2に、時計回りに一個進むと×3になっているんだ!
さらに、0でない数、例えば1を真ん中にして取り出した場合でも、反時計回りに一個進むと×2-1、時計回りに一個進むと×3-2になっている。
3
012
4
7の場合は、基本は5の場合と同じように六角形状に敷き詰めるだけだ。
0123456012345601234560123
,,5601234560123456012345601
3245601234560123456012345
0を真ん中にして取り出した場合はこうだ。×3をすると反時計回りに、×5をすると時計回りに動く。
,,23
601
,,45
一般に、4n+1型の素数は5の場合のようなことが、6n+1型の素数は7の場合のことが言える。説明終わり
図の,,はこっちの都合なので無視してくれて構わない」
「解説お疲れ様。それで、なんの話だっけ。」
「俺らは双子素数に似ているって話よ」
「その話だけどさ。そりゃ僕ら双子素数に似てるよ。だってさ」
僕はふたご座を見上げる。
「僕たち双子じゃん」
数をめぐる兄弟 水宮うみ @mizumiya_umi
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