始まり・1

(また、あの夢をみた)


ベッドから起き上がったばかりでふらつくカラダを、朝だ起きろと少し叩いて、陽の光が射す窓を開放つ。


(人族の言い伝えでは、何度も昔の夢をみると近々なにか良くないことがあるらしい。)


外に出て、冷たい井戸水を頭からかぶる。

(変なことがないのが、いちばん良いのだけど・・・)


水の入っていた桶を置こうと見下ろすと、淡い青の自分のカラダが目に入った。


(そもそも、人族の言い伝えが魔族の僕にも通じるのかな?)



魔族。


光のチカラを秘める人族に対して、闇のチカラを秘める種族。


基本的に人魔は敵対しているけれど、事情によっては、希にその垣根が無い者もいる。

そう、人族の村で暮らす僕のように。

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