花は桜木、鬼は霧

高田正人

EX :登場人物紹介(随時更新)



 ・脇役はほぼ登場順に並んでいます。

 ・人名の前にあるマークは、「◆~男性 ◇~女性 ※~中性もしくは無性」となっています。



【主役と準主役】



◇桜木朝日(さくらぎあさひ)

 本編の主人公。私立初城台高校一年生。ポニーテールっぽくした髪型に、すらりとした長身の少女。鋭い眼光に真一文字に結んだ口元という、まさに現代に生きる剣客といった外見の持ち主。角折リという古来より鬼、すなわち頭角を討つ家である桜木家の出身で、自身も既に桜木流撃剣の奥義を修めている。「人太刀」と呼ばれる剣の申し子。

 性格は直情径行で一本気。生真面目で曲がったことが嫌いな、どこまでもまっすぐな気性の持ち主。本性はかなり好戦的だが、きちんとそれを理性で抑えることができている。一度戦いの場に立つと意識が切り替わり、完璧な心技体で刀を振るう。桜木家を継ぐ人太刀としての生を完全に受け入れ、迷いなく肯定している。

 中学校時代は剣術の取得に血道を上げ、周囲が退くほどそれに熱中していた。おかげでついたあだ名が「デストロイヤー朝日」「メスゴリラ」。このあんまりなあだ名がトラウマになり、ド田舎の実家を離れおしゃれで素敵な初城台高校に入学することとなる。現在の目標は失われた青春の謳歌であり、普通の女子高生らしく生きること。

 ……だったのだが、その進学先でよりによって実家の宿敵である頭角、すなわち當麻狭霧と出会ってしまった。彼に対しては本能的に敵対してしまうため、目下普通の女子高生とはかけ離れた武闘派な行動ばかり取ってしまっている。そんな態度が高じるあまり、ついに狭霧と実家公認で決闘することとなった。

 扱う流派は桜木流撃剣。特に攻撃に特化しており、いかなる頭角であろうと恐れもしないで間合いに飛び込み角を狙う。その奥義は「開花白刃」。極限まで五感を鋭敏に研ぎ澄ます技能であり、これにより人外の頭角と互角に渡り合う。しかし彼女は未だ知らない。自らがこの平和な時代に極めた剣術に、何の意味があるのかを。



◆當麻狭霧(たいまさぎり)

 鬼――すなわち頭角と呼ばれる混血の末裔。女性顔負けの長髪がトレードマークの、正真正銘絶世の美男子。格好いいのではなく美しい。女性はもちろんのこと、男性さえも彼の美貌には見惚れるほど。まさに人外の美形。當麻流舞踊という舞踊の家の出身であり、朝日の実家である桜木家の宿敵。しかしなぜか、朝日に興味を抱き接触してくる。

 性格は、竹を割ったように直情径行な朝日とは正反対。その名の通り霧のようにつかみ所がなく、本心を明かさない。完璧なペルソナの持ち主であり、外面からでは何を考えているのかまるで分からない。その外見故に誰からも誉めそやされるが、本人はその賛辞にさほど心が動かないらしい。生ける異能であり、存在自体が境界線上に位置している。

 扱う流派は當麻流舞踊。本物の無形文化財であり、古流の舞踏として正式に認知されている。だがその舞は鬼を魅せるために自らも鬼となる恐ろしいものであり、外柔内剛を体現している。そのたおやかな動きの中に、凄まじい暴力性を秘めているとか。本来は人に見せるものではなく、宿神という芸能の神に捧げるものらしい。



【脇役たち】



◇桜木陽子(さくらぎようこ)

 朝日の母親。おっとりとしているようでしっかり者。一応桜木の遠縁だが、ほとんど頭角に対する忌避感はない。



◆桜木大悟(さくらぎだいご)

 朝日の父親。外見こそ小柄で質実剛健な武道家といった出で立ちだが、かなりの親馬鹿。猪突猛進なところは娘にそっくりだが、時折朝日にさえ突っ込みを入れられることも。



◇エミリー・ヒューストン(えみりー・ひゅーすとん)

 朝日が初城台高校で最初に知り合った同級生。アメリカ出身だが日本語は流暢。性格はやや引っ込み思案だが親切で穏やか。優しそうな容貌に案外起伏に富んだスタイルという、天が二物を与えたような少女。朝日にとっては、自分の憧れがそのまま形になったような存在と言える。朝日の良き友人となる。



◇山都琲音(やまとはいね)

 朝日の同級生。外見は小学生に間違えられそうなほどに小柄な、おかっぱ気味の髪型をした少女。その正体は、仕え家と呼ばれる頭角に仕える家の出身。狭霧に仕えているため、彼に何かと突っかかる朝日を疎ましく思っている。担任の大曲に一方的に好意を寄せているが、等の大曲はまったく気づいていない。。



◆大曲利郎(おおまがりとしろう)

 朝日のクラスの担任。くたびれた背広に、ついさっき万年床から起きてきたかのような眠そうな容貌の持ち主。外見こそさえないが、しっかりと教師としての自覚はある。



◆當麻夕霧(たいまゆうぎり)

 狭霧の弟。中学二年生。狭霧と同じく、並外れた美貌の持ち主。しかし彼の方がより中性的かつ女性的。いかなることにも柳に風といった感じの兄とは異なり、一見すると社交的で人なつっこい。無条件で狭霧を慕い、狭霧を自己の存在理由としている。



◆寺谷忠雄(てらたにただお)

 高校二年生。柔道部所属。とても柔道をやっているとは思えない、チャラチャラした軽薄そのものな外見の持ち主。口調や話すことも砕けていて今風。



◆野田正春(のだまさはる)

 高校三年生。プロフェッショナルレスリング部所属。通称バルバロイ野田。朝日を自分の部に勧誘する。



◆串原友満(くしはらともみつ)

 高校二年生。相撲部所属。朝日を自分の部に勧誘する。



◇桜木ふみ(さくらぎふみ)

 朝日の祖母。外見こそ着物がよく似合う物静かな老女だが、刀を握れば未だ現役と言ってもいい腕前の持ち主。天眼という異能を有し、相手の避ける方向にあらかじめ刀を振るうという、未来予知に近い反則的な動きができる。朝日の剣を見守り、彼女の成長を逐一助言しつつ見届ける賢者の役割を担っている。



◇西木美世(にしきみよ)

 朝日の同級生。着崩した形でアレンジした制服と、丁寧に丁寧に整えられたまつげがトレードマーク。外見や口調は今風で軽いけれども、決していじわるではない。おしゃれに疎い朝日に、案外真面目なアドバイスをしてくれる。意外と面倒見が良く世話好き。



◇忍野野々(おしののの)

 スイーツ研究会部長。



◆當麻黄雲(たいまこううん)

 狭霧の父親。息子二人と違って、こちらはいたって普通の人間の範疇におさまる外見である。



◇柏崎八重姫(かしわざきやえひめ)

 朝日と同じ角折リの一家であり、柏崎流弓術の射手。派手好きで騒々しいお嬢様。使う武具は伝統的な和弓ではなく、人間工学の粋を集めたアーチェリー。朝日よりも年上の成人女性だが、兎にも角にも朝日をライバル視し、昔から何かと勝負を挑んできた。非常に負けず嫌いで、そのくせ打たれ弱くて粘着質という何とも面倒くさい性格の持ち主。



◆守門克彦(すもんかつひこ)

 八重姫の付き人。長身で短髪で鍛え上げられた外見の、一見するとスポーツインストラクターのような男性。不器用で口下手な性格。


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