第二章 魔王退治をしてしまいました
俺の妄想がきっかけで一人の金髪巨乳美少女ことエルミスに出会ってしまった。
そして何故かエルミスとパーティーを組んで魔王退治に向かうのであった。
「魔王はこの世界の邪悪の象徴、そして倒した暁には世界は平和となり、倒した者は絶大な権力、富、名声を得ることができる。誰でも底辺から成り上がることができるのだ」
「くだらないな。富も名声も権力も全ては俺の妄想一つで叶う。魔王退治にメリットを感じない。やっぱりパーティー解消だな」
「ああ待て待て、まだ続きがあるんだ。この世界の魔王を倒せたものはかつて一人とていない。つまり幾ら勇者のお前でも不可能だな」
ドヤ顔で人を煽ってくるな、魂胆はミエミエなんだよ。
俺を唆し魔王を倒させて自分が成り上がるつもりなんだろう。
しかし、折角知らない世界に来たんだ、魔王を倒してみるのもありだな。
「いいだろう魔王を倒してやろう、魔王はどんな姿なんだ」
何せ魔王を倒す妄想をしないといけないからな。
妄想こそが俺の唯一のアイデンティティと言っても過言ではない。
「魔王は暗黒の城にいるという噂だ。姿形は知らない。会ったことなんてないからな」
「暗黒の城か、まあ何とかなるだろう」
俺は暗黒城を自分の中でイメージする。
そして魔王の前まで行く妄想をする。
妄想を終えた俺は魔王の前に立っていた。
ついでにエルミスをつれて。
「貴様は一体何者だ、どうやってこの部屋に侵入した」
「妄想でだな、お前が魔王か」
「いかにも我が魔王だ。未だかつて無敗の我に勝てるものはおろか挑戦する者すらいない。この世界は軟弱者の集まりよ」
可哀想に、エルミスが俺に魔王退治を依頼しなければ、無敗の魔王でいられたというのに。
ああ哀れだ、しかし俺は容赦しない。これも魔王の運命だ。
「じゃあ今日から俺が魔王になります。なので現魔王は死んでくれ」
「ハッハッハッハッハ、面白い少年だ。まさか我に勝てるとでも思っておるのか」
「妄想こそが世界最強、今からそれを俺が証明してやるよ」
俺は魔王をどう倒すか妄想する。
うーん悩むな、ただ倒しても面白くないよな。
魔王を美少女に転生させて、俺の配下に付かせるか。
俺は妄想で魔王を美少女に転生させる妄想をする。
妄想を終えると目の前にいた威圧的な魔王が美少女へと転生していた。
俺は思わず面白すぎて一人腹を抱えて笑っていた。
もう魔王に勝ってしまった。魔王すら俺の妄想の前では無力。
「ハジメお前一体何をしたんだ? 魔王が美少女に変身して」
「俺の妄想でそうさせた。さて魔王退治もクライマックス、エンドロールでも流す用意をするか」
魔王は美少女になり、自分自身に何が起きたのか分からないでいる。
可哀想でとても哀れだ。仕方ない説明してやるかこの現状を。
「お前は俺の妄想によって美少女にされたんだよ。今日から俺が魔王になってやるよ」
「な、なんだと。私が人間なんかの女になったというのか。くっ、屈辱だ」
「いや人間なんて妄想していませんが、美少女に転生を妄想しただけだし」
「どちらでも屈辱だ。私をどうする気だ」
忘れていた、魔王を美少女に転生はさせたが、力まで奪ってはいなかった。
飛んでくる、あらゆる属性の魔法が俺を目掛けて。
だが焦ることはない。俺の妄想は無敵だ。
全ての攻撃を反射させる、いやベクトルやスカラーでも操作しようか。
俺の妄想によって、魔王の攻撃は魔王自身に返っていく。
「タイムタイム……分かった分かった私の負けだ。だからこの攻撃を何とかしろ」
「いや魔王退治に来たから無理だわ。死ね」
「それでも勇者かお前」
「勇者は残酷なんだよ」
魔王が自分の攻撃によって跡形もなく消え去る。
妄想によって魔王を倒したものなど未だかつていないはずだ。
ああ爽快爽快。
しかし困った、魔王殺してしまったけど、もうこの世界でやることないんじゃないのか。
一気に退屈になったぞ。どうするか、取り敢えず美少女とイチャイチャでもするか。
そうだ、そうしよう。俺は退屈は嫌いだ。
「やったのか、こんなあっさりと凄いなハジメ」
「取り敢えず富やら名声やら権力やらはやるよ。俺には妄想がある」
「本当かそれは!? いいのか本当に」
「ああだから俺はもう行く。エルミス短い間だったが楽しかったよ」
俺はエルミスに引き止められる前に、取り敢えず他の美少女の胸へとダイブする妄想をする。
さらばエルミス。さあ次はどんなイベントに出くわすんだろうか。
意外と楽しめそうだ。妄想こそ最強。
俺はとにもかくにも
魔王退治してしまいました。
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