夏恋


 彼と祭に来た。


 久しぶりに二人で屋台を回ったりして色々なモノを見たり買ったりして楽しかった。


 公園のベンチで二人静かに遠くから打ち上げられる花火を見ていた。


 彼の花火を見る横顔が可愛く私はつい彼のほうをボーっと見てしまう。


 ふいに彼がこちらに振り返った。


「なぁ! 今の花火綺麗じゃなかった!?」


 あー好き。そう思った瞬間、私は彼の顔に近づいていた。


 彼は驚いた顔をして固まった。私も固まった。


え?! 私は今、キスした?!! え?! 自分から?!!


 私はビックリして顔を下げる。


「な、夏のせいだから! 今のは!!」

 

 意味の分からない言い訳をする。


「暑くて! ボーっとしちゃって!? だから!!」

 

 顔を上げると彼のほうから次は近づけてきた。


 話を途中で止められ彼に黙らされた。


 もう一度遠くから花火がきれいに上がる。


 私たちを全て照らすほどの大きさの花火が上がったが私と彼は見ていない。


 今、目に写るのは好きな人の顔だけだった。

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