夏空



 雲もなく、風も吹かない静かな夏の夜。

 キラキラした星を眺めるといつも思い出す。あの時の気持ちを私はいつも思い出す。


 クラスの皆で見に行った天体観測。あの時、君が提案したから私たちは一緒に行ったんだと思う。

 周りは全て真っ暗で空だけが星たちのおかげで輝いていた。

 笑って夏の大三角形を探す君の顔を見て初めて自分の気持ちに気がついた。

 (あぁ、私は君が好きってことを・・・)

 あの時、告白していたらもしかしたら今、君の隣にいるのは私だったかもしれない。


 きらめく星々を見つめて私は君の探した大三角形を探す。この想いは届かずとも君が私に笑ってくれるだけで満足だから。

 


 夏の大三角形と共に君の笑い顔を思い出す。

 まるで呪いのように私の頭の中が君でいっぱいに埋め尽くされる。消しても消えない。夏が過ぎるまでは・・・

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