未来観測
「ねぇ?これで何回目?」
私の横に居る友達が聞いてくる。
「え…何回目だろ、20回は越えたんじゃないかな」
私は指で数えたが途中から分からなくなり友達に適当に答えた。
何の回数の話かと言うと私が告白された回数の話だ。別にモテてる訳でも可愛い訳でも無く、入学当初からはや数ヵ月ずっと一人の男から告白をされ続けてる。
最初会った時は廊下で、次に教室で、下駄箱で、最低一日一回は告白をされる毎日だ。
「何でそんな頑なに断ってんの??」
友達がふいに聞いてきた。これだけ告白されて断り続けている理由が気になるのだろう。
「友達でも知り合いでも無い人に急に告白されてるの想像してみて」
私は質問を質問で返した。友達はう~ん、とうねりながら考えている。答えが出たのか机に寝そべりながら言った。
「やっぱ無理。イケメンでも無い限り無理だわ」
「そう、それよ」
私は机に寝そべった友達にそう言った。
「でもこんなにされたら少しは気になるものじゃない?」
友達は頬を机にくっつけながら聞いてくる。
「確かに何で私に執着するのかは気になるけど…」
ほほぅと友達がニヤけながら私を見ている。
「いや、ほんとそれだけだよ?!」
私は何を必死になったか少し頬を赤くさせて友達に強く言った。
「私は何も言ってませーん」
それを見た友達がまた笑いながらそう言った。
下駄箱から出て友達と校門に向かう途中、あの男が現れた。
「好きです。僕と付き合って下さい」
男は頭を下げながら言った。
私は「ごめんなさい」と謝り、その男の横を歩いて校門に向かう。
男は膝を着き下を向いていた。
「どうして、あの子に執着するの?」
友達が男に質問する。
男は顔を上げ元気に話をした。
「僕には未来を視る力があるんだ」
は、はぁと友達が変な相づちを打った。そんな急の言われたら答えづらい。それを無視して男は話し出す。
「子どもの頃、僕は誰と付き合って結婚するのか視たんだ。大好きな人と一緒に色々なことをしてた。僕はそれを視て嬉しかった。それからずっと彼女のことが好きだった。いつ出会えるのか楽しみでワクワクしてた。そして入学式の日に出会って、すぐ告白しちゃった…本当は友達になってからのはずなのについ嬉しくなって…」
「で…今に至るわけか」
友達が納得したような感じで終わらした。
男はうん、笑いながら言った。
「じゃあ、そのことをあの子に言えばいいよ」
は?と男が意味の分からないと言う顔をした。
「ちょっと待ってて」
そう言い残して友達は走って校門に向かった
「おっそい!何してたの?」
私は走ってきた友達軽く怒り口調で言うと友達は謝るどころか私の腕をつかんで「ちょっと来て」と言い校舎の方へ走っていく。
下駄箱の方へ戻るとあの男が居た。私は訳が分からなく友達に尋ねる。
「ねぇ?なにこれ?」
「とりあえず男の話を聞こう」
友達はそう言うと私の前に男を連れてきて話をさせた。一通り話終わると周囲を無言が襲った。男は言いたいことは言って次何を言えばいいのか分からない顔して、友達は私と男二人をじっと見ていた。
私は聞き終わると訳が分からなかった。未来が見えるとか意味が分からなかった。でも私のことがこんなに好きだと言うことが分かった。小さい頃からずっと私を探して、見つけた時嬉しかったってことはよく分かった。
でも私は男のことをよく知らない、男は私と付き合って何するのか知ってて私だけが何も男のことを知らない。これから先の未来なんてもっと分からない。
「ズルい…」
ふとそんな言葉が溢れた。
「じゃあ、変えればいいじゃん」
友達が横から真剣な顔で言ってくる
「未来なんてたくさんあるんだから男が見た未来何て変えればいいよ。あんたの自由何だから」
友達は真剣な顔で私を見ている。私は友達の言いたいことを理解して口元に笑みを浮かべた。私は男の方へ向き直り、男に質問した。
「未来の私たちが付き合って色々したのってどれぐらい?」
男は突然言われて少し考え込見ながら言う。
「分からないけど1ヶ月以上はたってたと思うけど…」
「ふぅん」
私は男の答えに笑い、男に近づいた。
顔と顔がだんだん近くなり唇が重なった。
男は顔を真っ赤にして私を見ている。
「じゃあ、これは無い未来だね」
私は笑いながら言って歩きだした。
友達は男の肩を叩きながら笑っている。男だけが分からない顔をしていた。
分からないなら分からないなりに楽しめばいい。男も知らない未来にして、進んでいけばいい。だって先のことは…
「分からないから楽しいんだもん」
私は後ろを振り返り二人に向かって微笑んだ。
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