人生出会
あの年、あの日、あの時、あの瞬間、君と過ごした時間は忘れられない想い出です。
『いつも』通り起きる。『いつも』通りに学校に行く。『いつも』通り授業を受ける。『いつも』通り友達と話す。『いつも』通り帰って寝る。そして、また『いつも』が始まる。
僕の人生は必ず『いつも』が付いてくる。
変わらない、つまらない、出来上がった道をただただ歩くそれが僕だ。
それは、ある日の昼下がりふと窓の外を見ると隣の校舎の屋上に誰かが立っていた。
風で長い髪が後ろになびき、黒髪が波のように揺れている。そんな髪を気にせずにただその人は外の向こうの景色を見ている。
僕からしたらそれはありえないことで何かが僕の弾けた気がした。真面目に授業を皆が受けている中一人だけ授業を受けずに教室の外にいる。僕はその人がスゴく羨ましく思えた。でもそれは間違えでしたらいけないことなのに羨ましく思えた。
次の日も、そのまた次の日もその人は授業を受けずに屋上に一人いる。僕は休み時間に走って屋上に行くがその時にはもう消えていた。
会って話してみたい、聞いてみたい、好奇心が僕を突き動かす。でもまだ一度も会ったことがない。また『いつも』窓から見えるだけ
珍しく、学校が半日で終わり皆昼過ぎには帰る準備をして下校していた。僕も帰る為に下駄箱に行く途中で何故か止めた。何となく、今なら屋上にあの人が居るような気がする。そう思うと自然と足が階段を上がって行く、屋上のドアの前まで行くと不安になってきた。
居なかったらどうしよう、もう帰ったかもしれない。そう思うと開けずにこのまま帰ろうと思ってしまう。不安が募っていく、緊張して背中から嫌な汗が流れるのが分かった。
勇気を持ってドアノブに触れると、ドアは開かなかった。鍵が閉まっていた。
僕は一瞬安堵したがすぐにやっぱりと思って帰ろうとしたら下から階段を上がってくる音が聞こえた。
「あれ?今日は先客がいたんだ」
下から彼女が僕を見てそう言った。
それが僕と彼女の初めての出会いだった。
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