肝試し


 友達たくさんと夜のお墓にやってきた。

 蝉がミンミンと耳障りな音が四方八方から聞こえてくる。夏のせいか肌にベタつく生暖かい風が吹いている。星はおろか月も出ておらず辺りは薄暗い景色が広がっている。

 

 男女のペアで墓を一周する組と驚かせ組に別れるとルールを説明をする。初めから脅かし組は決まっているから後はペアを決めるだけ僕は当たり前にペア組だ。みんなでクジを引いて回りペアが決まった。 

 やった。好きな子とペアだ。カッコいいところを見して好感度を上げよう。

 ペアが順番づつ入っていき、二人ずつ人が消えていき、遠くから悲鳴に似た声が聞こえてきたり、聞こえてこなかったりした。

 

 いよいよ、僕たちの番が回ってきた

 僕は彼女と頑張ろうねといいながら闇に向かって進んでいく。  

 


 僕は…アニメを見すぎたのだろうか…それとも女子に期待をしすぎたのか。

 女の子がキャーと叫びながら僕の腕をつかんで驚く。そんなベタなことを想像した僕はバカでした。そんなものはアニメの世界だ。


 彼女は驚かせ組のドッキリにもビビらずキャーと悲鳴もあげずに涼しげに歩いていく。美女は肝が座っているのか…

 好感度を上げようとした僕の方が驚いている始末だ。

 なんて情けない。僕は驚いて前に倒れてしまった。


 ──目を開けるとそこは僕の部屋──

 あの肝試しは夢だったのか。いや確かに友達と約束したはずだ。僕はケータイを開いて確認するその日…今日だった。

 僕は今日の夢を見たのか

 おかげで僕は夢で現実を見せられたようだ。

 ──何とも悲しい現実である─

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る