君色signal


 それは本当に偶然だった。

 たまたま街を歩いていたら、何処からか音楽が聞こえてきた。

 僕は気になって音の鳴っている方に歩いていく。駅のターミナルで音楽は鳴っていた。

 女の子がギターを弾きながら歌っている。

 

 僕は初めは興味本意でその歌を聴いていた。

 ただ暇潰しにと思い僕は毎日聞きに行った。

 何回も聞いていく内に聞きに行くのが日課になってきた。今日は来てなかったら悲しむ、来てたら喜んだりしていた。

 いつのまにか僕は興味本意じゃなくその子の歌が好きになっていた。

 僕のことを覚えてくれたのだろう。最近は終わったら「ありがとう」って僕の方を見て頭を下げている。


 初めに声をかけたのは僕の方だった。

 彼女は驚いた顔をしたけど笑ってくれた。

 それからは僕たちは仲良くなった。

 路上ライブが無い日も僕たち会う関係になっていった。僕と彼女は付き合うようになった。


 彼女がふと疑問に思ったことを僕に聞いてきた。

 「初めて来てくれた時何で最後まで聞いてくれてたの??」

 「初めは興味本意だけだったと思ってたよ。でも違った。君の言葉が、音が僕の体を突き抜けたような…君の音楽が僕の心に刻まれたんだよ。」

 僕は照れながら笑った

 彼女も恥ずかしくなったのか頬を赤く染めながら「バカ!」って叩いてくる。

 僕ら二人は顔を赤くしながら笑っていた。


 

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