第49話「トヴェッテ王国の、物価事情」
トヴェッテ王国の王都に到着し、名所をいくつか観光した俺とテオは、部屋をとった宿屋1階に併設された大衆レストランで夕飯を食べていた。
俺はビーフステーキセットを、テオはローストチキンセットを注文。
メインメニュー以外は共通で、付け合わせはクタッとなるまでしっかり煮込んだ緑の葉物野菜に、塩コショウで味付けられたマッシュポテト。
それに薄くスライスされた硬めパンとコンソメスープ、赤ワインがついてくる。
「……昼間に色んな店のぞいたけど、やっぱりエイバスとは雰囲気も品揃えも全然違うんだな。全体的に上品で高そうな店が多かった気がする」
と、俺は赤身のビーフステーキを口に運ぶ。
大きめに切った肉からは、噛んだ瞬間に肉汁がブワッとあふれてきた。
「トヴェッテはお金持ちが多いからねー」
そう言って、赤ワインの香りを楽しむテオ。
一口飲んでは良い笑顔をしているあたり、どうやら好みの味だったみたいだ。
トヴェッテの物価は、エイバスより全体的に割高だ。
それは量より質を重視する高級志向の住民が多いためであり、他にも税金が高く仕入れ経費がかさむため等の理由があげられる。
このレストランで夕食を取ることに決めたのも、宿泊客への割引サービスがあったからというのが最も大きい。
俺が頼んだステーキはナイフがスッと入るぐらいに柔らかく、かつ旨みをしっかり閉じ込めるように焼いてあって、渋みが強い赤ワインとの相性も良かった。
夕食時だし、この味で19
「まぁお金持ちってたいてい自衛のための装備にこだわるから、ここなら割といい武器や防具は買えるはずだぜっ」
「ああ。手持ちはそこそこあるし……まずは装備を整えるのが正解だろうな」
当面の装備を揃える予算としては十分だろう。
「となると……武器屋と防具屋巡りが明日のメインってことでいい?」
「おう。先に冒険者ギルドへ寄って、ドロップ品の売却もしたいところだな」
「OK! 俺は食べたらちょっと出かけてくるからさー、先に宿屋で休んでてよ」
「分かった」
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夕食後。
いったんテオと分かれ、俺は1人で宿屋へチェックインする。
朝食付き1人1泊130
だけどあてがわれた客室は、分厚い花柄カーテンと壁に掛けられた風景画がアクセントで落ち着いた内装の、広さ15畳ほどの2人部屋。
そして共同浴場のみだった野兎亭と違い、各部屋に広めの貸切風呂がついている。
この設備と物価の高さをふまえれば、夕食と同じく妥当と考えていいだろう。
エイバスを旅立ってから3週間弱。
道中はテオの【水魔術】&【火魔術】でお湯を作ってもらい、それで体を洗ったり拭いたりはしていたものの、さすがに風呂には入れなかった。
久々の湯船、しかもこの世界に来てから初めての貸切風呂。
広い湯船で1人ゆったり足を伸ばしつつ、この宿を選んで本当によかったな……と幸せを噛みしめまくったのだった。
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