Mortal intruder 〜感情がくれた世界〜

ちきん

プロローグ

 



 ――ある日、人類は滅んだ。




 それは、余りにもあっという間なもので、人類はなす術がないまま数時間の内に消え去ったのだった。

 短時間で人類を滅亡に追いやった元凶……それは、とある科学者がつくったウイルスであり、その本人もウイルスに感染して死んだ。

 ウイルスの感染力は非常に強く、発症地であるアメリカではわずか3分ほどで全国にウイルスが広まり、5分で人口はほとんど0にまで減少した。


 人類が滅び……腐敗した街の中を歩く少女が1人。


 科学者が残した、人工人間。

 ウイルスの免疫を持って産まれ、人体改造により特殊な力を宿した少女。


 彼女は、もともとは完成したウイルスと共に、戦争へ送り出す予定の兵器だった。


 だが、もう人類は滅んだ。役目はもうない。


 少女は歩く、人のいない世界を。

 少女は渡る、人のいない国々を。

 少女は考える、人はなぜこれほどまでに無能なのかを……。




 ――ある日、人類が滅んだ地球に、未確認生命体が確認された。


 人類という脅威が消え去ったということを知り、侵略しにきたのだろう。


 少女は思った。


 人類はいない。滅んだ。

 だが、自分の居場所を奪われるのは死んでも許せる行為ではないと――

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