第11話 受付、入団申請
中庭から来た道を戻るように通路を歩き、エントランスにある受付へと向かう。
受付の台では、受付嬢であるアマリアがこちらに背中を向けて何か作業していた。
「あら? フェヴィルさん。何かありましたか?」
こちらに気づいたアマリアが言った。
「ああ。メイルがイルガードへの入団を決めてくれたから、入団の申請をしようと思ってな。入団の手続きをしてもらってもいいか?」
「そうなんですね! 少々お待ちください」
そういうとアマリアは受付の裏にあるスペースへと歩いていく。フェヴィル曰く、受付の裏は事務所になっているらしい。
1分も経たずにアマリアは事務所から戻ってくる。
その手には数枚の紙が握られていた。
「お待たせしました。こちらが申請書類になります」
そういうとアマリアは申請書類を受付台の上に並べ始める。
「では、入団に関しての説明しますね…」
その後、アマリアから入団に関していくつかの説明を受けた。
大まかな内容はこうだ。
入団が決まった場合、この本部で数日間の研修があること。私の所属班はフェヴィルと同じギース班になること。申請を出した後、班長であるギース、そして支部長、そして本部にいる団長が審査をし、許可を得てから正式な入団が決まるため、入団まで数日間かかること。だそうだ。
説明を聞いた後は、アマリアとフェヴィルに申請書類の書き方を教わりながら記入する。
身元保証人や紹介者を記入する欄などがあったが、その部分はフェヴィルがなってくれた。
「これでよし。アマリアさんお願いします」
書き終えた申請書類をまとめてアマリアへと手渡す。
「はい。確かにアマリアがお預かりしました」
アマリアは、かしこまった様子で申請書類を受け取り、受付者の部分にアマリアとサインを書く。
「ギースさんは明日、本部に来られるそうなので、その時に申請書類の審査をお願いしておきますね」
アマリアが笑顔で話す。
「ああ。よろしく頼む。俺の紹介だからギースの審査は問題ないだろう」
フェヴィルが言う。
「よし。これで申請は終わりだ。後は正式な入団の許可を待とう」
フェヴィルがニカっと笑う。
「はい。待ち遠しいですね」
私も笑顔でそう返した。
申請を終えた私とフェヴィルは、中庭へと戻る。
中庭では団員達が、稽古と模擬試合の疲れを癒すため休憩をしていた。
いよいよこの後は、模擬試合の2回戦だ。
「みんな待たせたな。2回戦を始めるぞ。2回戦に残っている者は準備をしてくれ」
フェヴィルがそう言うと休憩していた団員が再び円を作る。
2回戦。この模擬試合に勝てば、来月の班別対抗武道大会に出場できる。
勝ち残っている団員達には一層の気合が入っていた。
もちろん私も負けるわけにはいかない。
2回戦の最初はフェヴィルの出番だ。
「では、始めっ!」
フェヴィルの試合だけ審判を行っていた団員の声が響く。
中庭に、団員達の気合の叫びや歓声がこだました――。
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