涼宮ハルヒと射手座の騎士見習い団

風祭繍

Prologue : In Association with Haruhi Suzumiya 涼宮ハルヒからの協力による

【共感呪術】

魔術や魔法の類を辿っていくと、これにたどり着くという。その作用は『接触したもの同士には、なんらかの相互作用(共感)がある』というもの。ここから様々な魔術や魔法に枝分かれしていったと考えられる。

―――――


 夕暮れに差し掛かるあたりの日差しの中、私はとぼとぼと歩いていた。考えているのはこんなこと。


(はー、さっぱりわからなかった……)


 現在中学二年生の私は、ちょっと背伸びした、いや、相当に背伸びした資格試験に挑戦してみたのだ。そして見事に玉砕。結果は聞きたくもない。


(大体さ、あの問題が悪いんだよ。何だっけ? ターンアラウンドタイムを求めなさい? ターンアラウンドタイムってそもそも何? たしかジョブの入力から出力までの時間だったっけ? そもそも始まりってどこよ?)


 そんな風に試験中の様子を頭で再現する。そしてさらに妙なことを再現してしまった。


(試験の前だってのに、あんまり知りもしないウェブサイトに飛んでよく知らないポッドキャストとかいうのをクリックしちゃってラジオっぽいものを聞いちゃったのがいけないんだよ。大体なんなのあのラジオ。歌を流しながらその合間にパーソナリティが合いの手を入れているようなアレ。おかげで、はじまりがわからない部分から歌が再生されて、そっちの声まで再生されて試験どころじゃなかったって)


(そう思いながら来るときは怖くて通れなかったエスカレータを使ってみる。これは通る時だけ動く仕組みのようだ。今は周りにあんまり人がいないから安心して試せるね)


(おお、通ると私の分だけ動いたよ。へぇー。面白いね。トイレの水道にお湯があるってところも珍しかったな。……だからどうしたっていうんだ……)


(まあ、ここは世界中からゲーム大好きの紳士淑女が集まることがあるからね。みんなのいいオーラを貰って帰ろう。また挑戦するかはわからないけど)


(はあ、それにしてもどんよりな気分が大きい。何か本でも買って帰りの電車の中で読むかな)


 駅の本屋で適当に目についたものを選ぶ。時々耳にしていたタイトル『涼宮ハルヒの憂鬱』を手に取ってみた。これでいいか、と思いレジでお金を払う。そして帰りの電車に乗った。


 電車を降りて歩きながら考えていた。さっきの本の事。まだ読んだの4分の1くらいだけど。


(ずいぶんと知識の多い高校生だな。それにたとえも多い。でも、セリフになったら長いだろうからアニメの声優さんは大変だろうな。アニメになってるらしいけど、まだ見てないんだよね。どうしようかな……)


 改札を出て、家に向かって歩いて行く。唐突に私は噛まれた。


「っ」


 首筋に牙を立てられている。痛みが走り、体が強張る。苦痛が増していき、声が聞こえた。


「まだ死にたいか?」


 私は答えた。


「いや……」


 そして、私の意識は闇に落ちた。

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