「 蓮華の花守 - 睡蓮談義 」(十五)
曇り空を見つめる
「 あれ? 人変わってるね? ――― 女官長は? 」と、何時もの癖でロータスの言葉で
「 ああ、そうなんだ! 君、ロータスの言葉わかるんだね? さすが、若くても女王の女官は違うなぁ~ 」
ナジュムは腕を組みながら、感心して
「
「 アタシも単語くらいは知ってるけどさ、会話はサッパリなんだけど…… 」
「 え…? どういう事なのでしょうか……? 」
「 何々!? 俺も混ぜてよ!? 」
暇を持て余していたナジュムは最初の目的を忘れて
「 ロータス生まれじゃ無いでしょう!? 色白だもん ――― いや、肌が白い人もいるけどさぁ! 王子のお母さんもそうだし。 」
「 へぇ~ そうなんだ? 」
「 でも、名前が
陽気な二人が 睡蓮談義を進める中、「 この名前は本当の名前では無いので…… 」と、暫く二人を見守っていた
「 え…!? そうだったの? 」
「 それ、自分で考えた!? もし、そうなら…――― 」と、ナジュムが " やっぱ、ロータスと縁があんのか? " と 睡蓮の言葉に食い付くが「 いいえ、知人に名付けて頂きました。 」と
「 試しに、通じるか何か喋ってみようか? ――― その名付けた人って誰? 」ナジュムがロータスの言葉で質問すると「 知人の……
「 おおっ!! 通じた!! 」
ナジュムと
彼等の実験の結果、睡蓮はロータス国の言葉の聴き取りは出来るが 喋る事は出来ず、書けるのは簡単な単語のみだが、読み取りは まぁまぁ可能という事が判明する ――― 。
「 いたいた!! ナジュムさん!! 雨が降り出したんで王子の出迎えの準備を…―――! 」と、ナジュムの臣下仲間が姿を現すと「 あ ――― やっべぇ、忘れてた! そうそう、俺 王子の付き添いだったわ。 」と、ナジュムは椅子から立ち上がった。
「 本当だ!! いつの間にか雨降ってる!! 」
「 迎えに行った方が良いのでは? 」ナジュムを呼びに来た臣下の男が心配そうに外の大雨を眺めると「 でも、どこにいるんだよ? 」とナジュムは面倒臭そうに大粒の雨を眺めた。
「 いろんな所から室内に戻れるから、どこかには入られてると思うんだけど…―――! 」
―――
近くに居た文官達が女王の側近、又は 女官 ――― 責任が取れる者を探して走り回っている。
( 折角、濡れたのに黒い
ライル王子は、雨に濡れても透けない花蓮女王の黒衣に落胆すると「 ここは 宮殿のどの辺りなんです? ――― 誰か来るのを待つよりも部屋に戻りませんか? 」と彼女を促した。
「 ごめんなさい、わからないんです……ここがどこなのか。 」
「 ご自分の宮殿なのに? 」
「 ―――……本当は、十六歳になるまで 自由に出歩け無いので…… 」
「 あー……聞いてます聞いてます。そうでしたね。 ――― でも、このままじゃお互い風邪をひくでしょう? 」
歩き始めたライルを追って
「 急いで湯殿と着替えの用意をしなくちゃ…! ―――
雨に気が付いた
( 独りになってしまっている……!! )
渡された布を抱きしめる様に両手で持ちながら、不安気に外の様子を見てみるが、普段は宮中に響いている波音が掻き消される程の雨音が響いており、次第に雷雨に変わろうとしていた。
急な雨で 通路には まだ 灯りも
――――――
ライル王子に自分から声を掛ける事は出来ないままだが、女王は彼と並んで歩けている事に満足していた。
「 ? ――― 雷が怖いのですか? 」
横を歩きたがる女王に気が付いたライルが
「 雷など怖くはありません! 」
「 それは頼もしい…! しかし、
「 ……わかりません。専門の者に任せていれば良いと言われているので ――― 」
「 ? ――― この部屋が何か? 開くんですか? 」
早く着替えたいライルが扉を開けようとしたが、鍵が掛かっていて開かず ――― 思わず、深い溜息を吐いた。
彼の
女王の私室の前の通路に現れた
「 待機してもらってる~!! 」 彼に伝え叫んで、
「 御一人…なんですかね? でも、
「
白夜が無言のまま佇んでると「 ほら!付いた… 」と、誇らしげに笑う
「
「
「 任せるって…――― この方、もしかして…… 」
「 直ぐに御案内致します。――― で、どの棟にお連れすれば……? 」
「 知らねぇ。 」
「 取り敢えず、何か身体を拭く物を ――― 」
「 いらねぇから部屋に帰らせてくれ! 」
「 では、行きましょうか? ―――
「 はいはい、ごゆっくりどうぞ~ 」( ――― ちゃっかり、この場から離れたな……。 )
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