水鏡に咲く白き花

水城ゆま

■序章

「 蓮の国の姫君 」( 一 )


――― 海に囲まれた国『 リエン 』。


の世界で唯一の島国であり、大国では無いが世界の中心国のひとつである。




海域にあるリエン国を地図上で見ると、

まるで、水面に浮かぶ 蓮の花の様に見える事から別名『 はすくに 』とも呼ばれている。


実際、はすの開花の時期になると 彼方此方あちこちの水場で蓮の花が咲き乱れ、

訪れた異国の者達に『 はすくに 』である事を印象付けている。

リエン国の人々にとって、はすは昔から身近な植物で日常の中にるのが当たり前のような存在なのだ。



そのことから、王室では 生まれて来た子供の名前にはすの花にちなんだ名を付ける事が多い。


人々に愛される子になるようにと、純粋に願って名付ける者もいるが

本音は『 自分の子供が国王になれるように 』と野心を込めて名付ける者も多い。

理由は様々だが、王家に相応ふさわしい人間に育って欲しい想いから国民に親しまれている蓮の花にあやかるのだ。



例えば、昨日まで国王だった「 ハチス 」の名もそういった理由から名付けられた。


そして、彼の娘で 明日から新国王となる少女の名は「 花蓮カレン 」だ。


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