恋愛フラグ回収系男子

@Kyuuri

第1話入学式フラグ

「チリリリリリリ。」耳を刺激する機械感のあるその目覚ましに反応し俺は音を発する物体を手で探る。「ゴソ...ゴソゴソ...ガチャ。」意識が半覚醒のまま、とりあえずいつものようにカーテンを開けると、ウザったらしいほどの明るい光が目を温める。太陽に照らされ時計の時刻が見える。いつもより30分も遅い時間にタイマーを仕掛けってしまった。いや、計算通り。この時間から急いで学校に向かっても間に合うかどうか...。常人なら急ぐとこだが、俺は急がない。なぜなら、これが俺の「フラグ立て」だからだ。今日は中学2年の初めての登校日。登校日と言ったらあれだろ?入学式(始業式)×遅刻=完全なるフラグだ。軽く朝飯を喉に通し、遅刻するのに髪型をしっかり決めて、俺は登校した。俺の家から学校には15分かかる。現在の時刻は8:10分。遅刻の最低ラインは8:20で急いでも間に合わない。「ふふっ。完璧だ。」と下品な笑みを浮かべ俺は走っていく。周りに遅刻している美人な女子はいないか確認しながら走っている。と、その瞬間。俺は曲がり角にさしあたっている事に気付かず勢いを止めていなかった。そこに自分より少し小さな人影が。「んん!!」俺は思った。ついについにこのフラグは回収されたと。始業式×遅刻×曲がり角=美少女との接触→そこからの恋愛。あぁ神様よ。やっと俺にも救いをくれましたか。体の力を緩め、未来のヒロインに怪我をさせまいと体を許す。そしてその刹那。どん。俺は後ろに倒れる。そしてすかさず自称イケボで「いってー...あの、大丈夫ですか?」「ダイジョブじゃないわよぉ。もう交差点は気をつけなさいね。」はぁ?誰だよこのババア。ふざけんなよ。美少女じゃねーのかよ。あぁ神様俺の未来のヒロインはどのフラグであらわれるのですか?

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