魔女の眷属
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プロローグ
第1話 水樹俊の一生
何かの燃えている音で目が覚める。
親父が料理をしているなどという馬鹿げた発想を少しでもしてしまった自分を蹴りどばしてやりたい。
音のする部屋の方へ行くとそこには酒をばら撒きながら自殺をしようとしている親父がいた。
「おいテメェなにしてやがる」
急いで止めようとして親父の元へ向かう。
とその時、俺の後頭部に鈍い痛みが走った。
「うるさい、お前さえいなければ全部上手くいくはずだったんだ」
血走った目で俺を酒ビンで殴りつけている親父を見ながら俺は意識が遠のいてゆくのを感じた。
俺、水城 俊 の人生を語るには、底辺の一言で全て事足りるだろう。
親父、水城 一郎は元々は 名家の出身でエリート道を進んでいたらしい。しかし俺の母親
橘 薫子との出会いによって彼の人生は一変する。
彼女は『免疫性細胞硬化症』という奇病にかかっていた。医者であった親父との出会いをきっと運命と呼ぶに違いない。
さてここで『免疫性細胞硬化症』について触れるとしよう。
それは体内で免疫作用が異常反応を起こして細胞を硬化させる病気だ。
これには大きな特色がふたつある。
一つは精神に何らかの負荷がかかったとき爆発的に進行すると云うこと。
そして二つ目は伝承するということだ。
親父と母親が結婚し子供つまり俺が生まれたときに問題は起こった。
簡潔にいうと俺を生み『伝承』を終えた母親は死んだ。
つまりそういうことだ。
俺さえ生まれなければ親父はきっとうまくいったのだ。
それからの親父は医者を辞め、貯金や実家に金の無心を行って酒ばかり飲む人生を送った。
施設を点々としてきた俺は高校生のとき親父の家を探し出しそれからは親父と生活をしてきた。
親父は俺に絶えず暴力をふるってきたが俺にはどうすることも出来なかった。
俺が原因でこうなってしまったのだから。
そして冒頭部分へと話は展開する。
...俺がもっとうまくやれたなら何か変わったのだろうか...
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