第159話 奇跡

道端に転がる

首を斬られたハトの

思いは一体どこへ

消えてしまったんだろう


公園のすみっこで

いともたやすく手折られた

花の願いは一体

いつ届けられるのだろう


いつの日かその

なめらかな肌も

きらめく瞳も

枯れ葉のように朽ち果てるなら

今あるこの単調な時の流れも

くすんで見える日々も

もうどうしようもなく

奇跡なのかもしれない


そんなこと思いながら

ふと見上げた空の色は

いつになく

澄んだ青色をしていて


そんなこと思いながら

静かに閉じた目から

わけもなく

涙が一粒こぼれた

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