第76話 夜に踊る

手を伸ばしてくる木々の間抜けて

追いかけてくる鳥の声かわして

何もない空間に手を伸ばせば

真っ白な花びらが雪のように舞い


草の上できらめく露蹴散らして

ささやいてくる水の音黙らせて

両手広げてぬるい風吸い込めば

青い体に潤んだ夜が入ってくる


五感に流れ込んでくる緑の匂いは

夜が生み出した壮大な秘密

暗闇が作り上げる透明な密室が

この体を閉じ込めようとするから


ゆらゆら揺れてる外灯が映し出す

駆け回る夜という名の生き物を

手なづけて自由な心を解き放ち

この空間を自分のものへと変える


艶めかしい色彩を振り払い

誘惑する花の香り叩き落として

ただひたすら闇の中で踊る

この夜をその手で支配して

















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