十月は君の寸角形

つとむュー

プロローグ

『三角比なんてクソくらえ!』


 僕は自分の目を疑った。

 フードコートのカウンターに広げていた受験勉強用のノート。

 真っ白なページのど真ん中に、丸っこい文字が堂々と踊っていた。


 十五センチくらいの大きさで。

 鉛筆でもボールペンでもなく、マジックインキで。


「誰っ!?」

 慌てて辺りを見渡す。

 犯行時間は、コーヒーを買いに席を外していたわずかな時間だ。

 だから犯人はそんなには遠くへ行ってはいないはず。

 

 しかし昼下がりのフードコートは、昨日までと何も変わらなかった……

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