170612「自由に使える命は一つ」15

 青年の全体重を込めたナイフが少女の華奢な体を貫いた。贅の限りを尽くした絨毯に、血の花が咲く。わがまま姫に相応しい最期だ。自然と笑みが溢れる。

「?」

 突然、底知れぬ恐怖を覚えた。咄嗟に飛び退く。

「……自由に、使える……命が、「一」「つだけだと「思ってるの?」」」

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