170605「空を忘れられない小鳥のために」8

 蒼穹の下を飛空機が雁の群れのように飛んでいる。あの青年も飛んでいるのだろうか。

「姫君は飛空機に興味がおありですか?」

 側近の言葉に、頭を振って、続ける。

「空を忘れられない小鳥のために籠を開けたのを思い出しただけ」

 数年後、小鳥ではなく隼の雛である事を知った。

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