食堂での朝食



「どうやら俺 鈴木正義は異世界転生してしまったらしい」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ガラガラ

洗面所のドアが勢いよく開いた。


「おいどうした今の声」


さっきの青年が驚いたような心配したような声で洗面所に入ってきた。そして床に座り込んでいる俺を見てその青年は俺に駆け寄ってきた。


「大丈夫かジャスティ。どこか具合でも悪いのか? なんなら今日は授業を休んで部屋で休んでるか?」


「いや、大丈夫・・・です」


そう俺が答えると余計に心配したように


「おいお前が俺に敬語なんて本当に大丈夫か?」


「いや本当に大丈夫」


青年はまだ少し疑わしそうだったが、本題を思い出したのか急かすように


「本当に大丈夫なんだな。だったら早く食堂に行こう。本当に朝飯が抜きになっちまう」



俺は部屋にあった青年と同じ制服のようなものに着替え一緒に部屋を出た。廊下には俺らと同じ制服を着た人たちが何人もいた。どうやらここは何かの学校の寮らしい。


「何をキョロキョロしてんだ寮の中なんて見慣れてんだろ。早く行くぞ」


「おっおう悪い」


なんとか会話を合わせながら階段を下りるとスープのいい匂いが漂ってきた。食堂からはもう朝飯を食べ終わった生徒がたくさん出てきていて、俺たち2人が食堂に入ると


「レオン ジャスティ遅い」


と赤い短髪の女子にいきなり怒られてしまった。


「だってしょうがないだろ。俺たちの部屋はハンナ達の部屋と違って2階だし角部屋なんだから」


「どうせレオンが寝坊したんでしょ」


「今日はジャスティも寝坊したよ」


「ほらやっぱりあんたも寝坊したんじゃない」


どうやら俺と同じ部屋の青年はレオンといい、レオンと口喧嘩をしている活発そうな赤い短髪の女子はハンナという名前らしい。そんなことを考えながら俺が2人の口喧嘩をなす術もなく聞いていると後ろの席から


「ほらレオン ジャスティ早く食わないと1時間目の授業始まるぞ」


「そうだよ2人とも今日の1時限目の授業はあのドレアス騎士長の授業だよ」


「遅れたら・・何を・・させられるか・・わからない」


「おはようリアム マシュー クロエ」


ハンナとは対照的で無口でおとなしそうな紫色の髪の女子はクロエ。レオンとハンナの口喧嘩を仲裁した金髪の八重歯の似合う青年はリアム、緑髪のみんなより少し小さめの青年はマシューというらしい。


この4人はそれぞれ2人ずつ同室らしく俺ら6人は一緒に行動することが多く仲がいいようだ。


ハンナ クロエ リアム マシューの4人に囲まれながら俺とレオンはもうほとんど食べている人のいない食堂で朝飯を食べていると2人の青年が俺たちの横を通る時に大声で


「まだ朝飯食ってやがる。何杯おかわりしたんだ?この卑しい孤児上がりが」


「それともわざと僕たちと朝食を食べる時間をずらしてくれたのかなぁ?」


と悪意たっぷりの口調で言ってきた。ハンナとレオンはイスから乱暴に立ち上がり


「なんだそれは喧嘩売ってんのか?」


「ようがないなら目障りだからさっさと自分の部屋に戻りなさいよ」


「お〜怖い怖い」


「噛みつかれて狂犬病にでもなる前に早く戻ろうぜ」


とまた嫌味を言いながら食堂を出ていった。


「ティメルとグルンデの野郎ちょっと自分の身分がいいからって俺たち孤児上がりのことを下に見てやがる」


「絶対あいつらなんかより強くなってやるんだから」


「まあまあレオンもハンナも落ち着いて。実際あいつらは中流貴族の出身なんだし」


「ああいうのは・・無視するのが・・一番いい。反応すると・・余計に突っかかってくる。特に・・ハンナとかレオンみたいな・・反応する人に」


と正論と事実を言われているレオンとハンナを傍目にリアムが


「それよりなんでさっきは言い返さなかったんだジャスティ」


「あっそれ私も思った。いつもなら真っ先に言い返すのに。」


「ジャスティの・・判断は正しい。けど・・いつものジャスティらしく・・ない。何か・・あったの?」


俺は想定外の指摘に対し少し慌てながらも


「いやただ腹が減りすぎて朝飯に夢中だっただけだけど」


と当たり障りのない受け答えをした。

どうやらこの俺ことジャスティはハンナやレオンと同じく活発的な性格でいつもなら2人と一緒に言い返すらしい。こんな感じで疑われるよりもこれからはうまくジャスティを演じていこう。そんなことを思いっていると


「ゴーーーン ゴーーーン 」


と鐘の音が8回聞こえる。


「あっもうこんな時間」


「やべぇ。早く剣闘場に行かねえと本当に1時限目に遅刻してしまう」


俺たち6人は朝食の食器を片付けると急いで渡り廊下を渡り剣闘場に向かった。



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