夜のうたごえ

真夜中に猫が愛の歌を歌ってる

時に情熱的に

時に扇情的に

夜の闇を野性的に描いていく


見つかったかい 恋の相手は

誰も知らない愛の駆け引きは

誰にも知られないようにやがてひとつの結果を残して

ああ そうして命は繋がっていくんだね


悩ましげなあの声は

きっと万国共通で

きっとどんな国の猫とだって仲良くなれる

人間様にとっては羨ましすぎる能力だよね


昔々の世界の言葉は一つだったのかな

神話の世界の話は本当だったのかな

その頃はもっと分かり合えていたのかな

かつてまだ世界がひとつの大陸だった頃


毎日お茶の間に届く世界の不協和音

誰かが仕組んでいるって疑り深い人たちは言うけれど

この世界がそんな計算通りに進んでいるとして

ちっぽけな僕らに一体何が出来るだろう


愛の想いは万国共通で

相手を許せるかどうかに掛かっていて

そんなの奇麗事だってみんなは言うけれど

今までだって少しずつ世界は変わってきたのだから


動物たちだってけんかはするけれど

人間みたいに戦争はしないよ

生命の進化の頂点だって自慢しているけれど

全然ちっとも立派じゃないよ


満月の夜に人は心乱されると言うけれど

毎日毎日おかしな事件ばかり起こるよ

満月のせいにしたらお月様に失礼だよ

確かに満月の日には心がもやもやする事もあるけれど


星の見えないこんな夜でも

ああ 猫たちは立派にお盛んです

野生の命の営みは体内時計に正確に従って

春になると決まって彼らは歌わずにはいられなくなるんだね


猫たちの愛の歌を聞きながら

僕は一人布団の中にもぐりこむ

街灯が一人ぼっちで照らしてる

スポットライトに照らされて夜のライヴは続いてく

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